2022 Fiscal Year Annual Research Report
the role of biometal in the intestinal environment
Project/Area Number |
21H02897
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大島 茂 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (50376787)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇尾 基弘 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20242042)
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / 生命金属 / 腸炎 / オートファジー / A20 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患の病態解明を追求する中で新たに環境因子に着目した研究を展開した結果、生命金属がヒト消化管に蓄積すること、主たる同定済み生命金属のニッケルがヒト細胞に多彩な応答を惹起すること、ニッケルが腸内細菌叢に作用すること、を見出した。そこで患者組織における金属粒子分布を詳細に検討した。患者手術検体、内視鏡生検検体を用いて放射光蛍光X線分析法(SR-XRF法)で検討を行なったところ、クローン病の腸管組織からニッケルの同定がされた。現在、がん手術検体の非がん部から検出はされていない。生命金属の状態を確認するため、X線吸収微細構造法(XAFS法)とMicro-PIXE(荷電粒子励起X線)分析用加速器システムにて検討したところイオンの形状ではなく、粒子であることが考えられた。ニッケル同定部位としては粘膜下層を中心であった。驚いたことに、現時点で他の生命金属の特異的沈着は潰瘍性大腸炎の手術検体におけるクロムのみである。 次に、ニッケルにおける作用を検討するため、マクロファージ特異的Atg5欠損マウス(Atg5 flox/flox LysMcreマウス)に対し、ニッケル粒子を経口投与するとDSS腸炎モデルで腸炎が増悪することが確認された。そこで腹腔内マクロファージ(PEC)を用いてニッケルの作用を検討した。野生型PECにおいてニッケルイオン、ニッケル粒子100nm 刺激では閾値を超えると濃度依存的に細胞死が誘導されることが確認された。細胞死を誘導する濃度より薄い濃度において、ニッケル粒子はLC3と共局在することが判明した。また、クローン病感受性遺伝子A20の腸管上皮特異的欠損マウス(A20 flox/flox villin-creマウス)に対しDSS腸炎を行うとコントロールに対し腸炎が増悪することを確認した。ニッケル粒子の作用を検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト手術検体、生検検体を用いて生命金属の解析を行なっている。次にIn vitroの解析系、マウス系を用いて検証している。順調に進展しているということができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
樹立したin vitro系、マウスの系を用いてニッケルの炎症における作用の検討を行っていく。
|
Research Products
(2 results)