2021 Fiscal Year Annual Research Report
identification of autoantigens of autoimmune pancreatitis
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21H02901
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩川 雅広 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (50737880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑田 威 京都大学, 医学研究科, 医員 (10879084)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己免疫性膵炎 / 自己抗体 / 自己抗原 / IgG4関連疾患 / IgG4 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、IgG4関連疾患の膵病変である自己免疫性膵炎 autoimmune pancreatitis (AIP)において、その病因自己抗原がラミニン511であることを世界に先駆けて発見した(Sci Transl Med. 2018;10:453)。しかし、ラミニン511自己抗体は自己免疫性膵炎患者の約半数でしか陽性にならず、残りの自己抗体の同定が課題である。 本研究の目的は、ラミニン511以外のAIPの自己抗原を同定することである。本年度、ラミニン511結合蛋白であるインテグリンα6β1に対し、自己抗体を有するAIP患者が存在することを確認できた。更にインテグリンα6β1をマウスに免疫するとAIPに類似の病変が生じることを確認できた。この結果は、AIPがラミニン511とその結合蛋白に対する自己抗体で生じている可能性を示唆している。今後、更にこのjunctionに注目して、自己抗体を探索していく。具体的には、組織で実際に存在しているラミニン断片に対する自己抗体を探索していく。 世界中でAIPを含めたIgG4関連疾患の病態と関連する自己抗原を同定しているグループは申請者のグループ以外には認めず、同研究は学術的独自性、重要性が非常に高い。本年度の結果によってAIPがラミニン511とその結合蛋白であるインテグリンα6β1に対し、自己抗体をもっていることから、将来的にIgG4関連疾患の自己抗体も何らかの関連蛋白である可能性が高いと考えられる。AIP、IgG4関連疾患の病態解明に関わる非常に重要な研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A. AIPにおける新規自己抗原の同定 A-1 ラミニン結合蛋白質が自己抗原となっているか否かを明らかにするため、2021年度の実験でインテグリンα6β1が自己抗原であることは症例数を増やして確認した。AIP60例中、ラミニン511抗体陽性例32例、インテグリンα6β1抗体陽性例5例、両者とも陰性である23例であった。しかし、それ以外の結合蛋白インテグリンα3β1、ナイドジェン、パールカンやアグリン蛋白質は自己抗原ではなかった。 A-2 ラミニンアイソフォーム、もしくはラミニン断片が自己抗原となっているか否かを明らかにするため、本年度、これらのラミニンアイソフォームがAIPの残りの自己抗原となっている可能性について検討した。AIP60例で検討したが、ラミニンアイソフォームに対する自己抗体は認めなかった。次に、本年度で膵酵素によりラミニンが様々な形に切断されるのは確認できた。2022年度に、こららの抗原性をELISAで確認する。 B-1 患者IgGのマウスへの投与による病的自己抗体の証明のため、患者IgGをマウスに投与するには、大量の血清が必要になる。本年度はインテグリンα6β1抗体陽性例5例とコントロールの患者血清を大量に集積した。 B-2 新規自己抗原を用いたモデルマウスの作成と解析のため、2021年度にインテグリンα6β1が真の(primary)抗原であるかを検証するために、インテグリンα6β1をアジュバントと共にマウスに免疫したところ、膵臓のみに腺房細胞が明らかに小さくなるという病変が誘導された。コントロールの卵白アルブミン免疫マウスの膵臓では、異常を認めなかった。ヒトAIPでも、同様の所見は認める。
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Strategy for Future Research Activity |
A-1 ラミニン結合蛋白質が自己抗原となっているか否かを明らかにするため、2021年度の実験でインテグリンα6β1が自己抗原であることは症例数を増やして確認できたが、それ以外の結合蛋白は自己抗原ではなかった。そのため次に、「A-2ラミニン断片が自己抗原となっているか否かを明らかにする」 申請者らは自己免疫性膵炎の病因自己抗原がラミニン511であることを発見し報告した。ラミニン511はα5鎖/β1鎖/γ1鎖の組み合わせによる三量体であり、膵臓に豊富に存在することが知られている。一方、ラミニンには、α1-α5の5種類のα鎖、β1-β3の3種類のβ鎖、γ1-γ3の3種類のγ鎖の組み合わせにより19種類のアイソフォームが存在する。本研究では、これらのラミニンアイソフォームがAIPの残りの自己抗原となっている可能性について検討する。更に、ラミニンは、細胞外に存在する酵素により、異なる形態のラミニン断片となり、それに伴い機能が異なることが報告されており、抗原性も異なることが予想される。2021年度で膵酵素によりラミニンが様々な形に切断されるのは確認できた。これらの抗原性をELISAで確認する。 B.新規自己抗原を用いたモデルマウスの作成と解析」を目的として、現在、インテグリンα6β1が自己抗原であることが確認できている。同自己抗原候補蛋白質をマウスへ免疫することにより、ヒトAIPの再現の有無について検討する。更に、各自己抗原ごとに、phenotypeに差がないか、また、ヒトの病理像との関連も検索する。2021年度に少数のマウスでは、インテグリンα6β1を免疫すると膵臓に障害が生じた。更に数を増やして解析する。更に、「A.新規自己抗原の同定」で自己抗原候補蛋白質が新しく終えられた場合、その蛋白質をマウスへ免疫することにより、ヒトAIPの再現の有無について検討する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Antigens and autoantibodies in IgG4-RD: Laminin-511, Galectin-3, Annexin-11, and others2021
Author(s)
Masahiro Shiokawa,Takeshi Kuwada, Sakiko Ota, Takeharu Nakamura, Hiroyuki Yoshida, Nobuyuki Kakiuchi, Saiko Marui, Yuko Sogabe, Toshihiro Morita, Tomoaki Matsumori, Atsushi Mima, Yoshihiro Nishikawa, Tatsuki Ueda, Norimitsu Uza, Kodama Yuzo Tsutomu Chiba, Hiroshi Seno
Organizer
The 4th International Symposium on IgG4-related diseases The 13th Annual Meeting of Japanese Association of IgG4-related diseases
Int'l Joint Research / Invited