2022 Fiscal Year Annual Research Report
Anti-vascular disease strategy based on nonlinear Down syndrome pathology and DSCR-1 function.
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21H02917
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
南 敬 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (00345141)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 動脈硬化 / DSCR-1 / 酸化ストレス / 血管内皮細胞 / ERG 転写因子 / 抗炎症 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症モデル Ts2Cje とそのlitter mate WT コントロールを基に、若齢時(3ヶ月)と加齢後(12ヶ月、16ヶ月)での脳血管を採取し、プロテオミクス解析を進めた結果、認められた SOD1 やDPP4 誘導に関しては validation を行った。さらに 内皮選択的な発現様式を示す T-cadherin とそのリガンドである adiponectin が有意に減少する結果が得られたため、これらの内皮での減少が血管ー神経微小環境におけるダウン症病態とどのように相関するか、酸化ストレスのレベルや内皮内の adiponectin レベルをELISA にて解析する段階である。 一方、ダウン症での抗動脈硬化作用を解明する目的で、Ts1Cje とApoE 欠損マウスの掛け合わせを進め、高脂肪食負荷でもヒト同様、動脈硬化に抵抗性が認められたため、今度は、ダウン症責任因子として DSCR-1 がどの程度関与するか、DSCR-1 ヘテロ欠損マウスとの掛け合わせにて、CARD での過剰排卵技術も使いながら、実験に供するマウスの n数を確保している段階である。トリソミー中、DSCR-1 のみが2コピーに戻ることで抗動脈硬化作用に変化がみられた場合には、本マウスでの内皮炎症状態、造血微小環境(マクロファージや免疫細胞の変化)を踏まえ、成果報告を急ぐ計画である。また別途ヒト21番染色体を余剰染色体としてマウスに組み込んだダウン症モデルマウスの収集を行った。更にダウン症染色体上に位置する転写因子 ERG の内皮特異的コンディショナルトランスジェニックのマウス樹立より、本モデルマウスが実際に内皮安定化、抗炎症、抗がん作用に寄与することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダウン症モデルマウス Ts2Cje を C57BL6/j の遺伝的背景に戻し交配している最中、突然雄性不妊となり、継代が困難となった不測の事態が生じたが、代換えとしてヒト21番染色体を組み込んだ新しいダウン症モデルマウスの収集に成功し、またダウン症モデルマウスが加齢ヒトダウン症患者同様、抗動脈硬化能を忠実に再現することに成功している。今後その大事な分子機構や責任遺伝子ネットワークを同定する準備段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス病態解明だけでなく、ヒトダウン症患者からの研究に展開するため、東京慈恵医大との多施設共同研究の枠組みを立ちあげ、先方の倫理申請が受理された段階である。加齢ダウン症患者から、iPS 化を図り、トリソミーとdiploid iPS 細胞を常に比較しながら、内皮細胞分化過程における染色体動態変化を Hi-C 解析などを交えて多角的に解明していく計画としている。
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