2021 Fiscal Year Annual Research Report
直接リプログラミングによる気道上皮細胞の効率的誘導法の確立
Project/Area Number |
21H02926
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 誠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (30317333)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 直接リプログラミング / 気道上皮細胞 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) や閉塞性細気管支炎 (BO) などの呼吸器疾患は、不可逆的かつ進行性の慢性進行性難治性疾患である。これらの疾患は気道領域の組織幹細胞である基底細胞の正常な分化/増殖が阻害されることが病態の一因であることが報告されている(Ghosh et al. Am J Respir Crit Care Med. 2018) 。また欧米で多い遺伝性難治性肺疾患である嚢胞線維症 (CF) は気道上皮細胞のイオンチャンネル異常により慢性的な気道感染、気道閉塞を引き起こす疾患である。これらの疾患への治療薬は複数開発されているが、効果は限定的であり、不可逆的な破壊病変に対しては、新規の根治的な治療は開発されていない。これらの難治性呼吸器疾患では気道上皮細胞が障害されており、その障害された上皮細胞の再生が新規治療法の開発の糸口となる可能性がある。肺機能の根本的な回復のためには、正常な機能を持つ肺細胞の再生が必要であり、再生医学を駆使した新たなアプローチからの新規治療法の確立が望まれるため、本研究では、iPS細胞などの多能性幹細胞を経ることなく体細胞から他種の細胞へ直接誘導する、いわゆる直接リプログラミング法を用いて、肺組織幹細胞の機能を有する肺基底細胞の誘導することを目的とした。 本年度は、まずマウス線維芽細胞であるMEFを用いて、より効率的な肺基底細胞への誘導方法の確立を試みた。気道上皮基底細胞の発生に必要と考えられている候補遺伝子の中から因子を絞り込み、レトロウイルスシステムを用いて誘導を行ったところ、線維芽細胞では本来発現していない上皮系マーカーのEpCAMと基底細胞の表面マーカーであるNGFR及びGSIβ4の3重陽性細胞をフローサイトメトリーにて確認した。今後さらに検討を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まずin vitroでのマウス基底細胞の直接誘導を試み、効率的な誘導に成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、in vitroでのマウス基底細胞の効率的な直接リプログラミングによる誘導を行った。次年度以降は、本誘導基底細動の、機能的・形態学的検討や、遺伝子プロファイル解析を行っていきたい。さらにヒト基底細胞の誘導も行っていく予定である。
|