2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫制御因子Gas6/Axlによる免疫老化の制御に関する研究
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21H02929
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
柴田 岳彦 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00739196)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感染症 / 重症化 / 老化 / Gas6 / Axl |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者は、ウイルスや細菌などの病原体感染に伴う重症化リスクが高い。その要因として加齢に伴う免疫低下や異常が挙げられるが、その発症メカニズムには不明な点が多い。これまでに我々は、若齢マウスにおいてgrowth arrest-specific 6 (Gas6) がその受容体であるAxlを介して重症感染症の発症と関連することを明らかにした。さらに最近我々は、若齢者と比較して高齢者の血中Gas6濃度が高いことを見出した (未発表データ)。以上より、高齢者におけるGas6濃度の上昇が加齢に伴う疾患の発症や重症化の原因になることを予想した。本研究では、加齢に伴うGas6レベルの上昇とインフルエンザウイルス感染症の重症化の関連性を解明することを目的とした。 ヒト同様にマウスでも若齢マウス (8週齢) よりも老齢マウス (70-74週齢) においてGas6レベルが高かった。これらマウスにインフルエンザウイルス (IAV) を経鼻的に感染させると、若齢マウスは感染14日後も生存していたが、老齢マウスは感染7日後から生存率が低下した。また、感染初期の4日目では、TNF-a、IFN-g、IL-6などの炎症性サイトカインや抗ウイルス性サイトカインであるIFN-bの発現量が若齢マウスよりも老齢マウスの方が低かった。反対に、老齢マウスにおける炎症性サイトカインレベルは感染後期にかけて上昇した。次に、老齢マウスにおける高レベルのGas6が重症度 (生存率) に関与するか調べるために、若齢マウスと老齢マウスにAxl阻害剤であるBGB324を腹腔内投与した後IAVを感染させた。結果、BGB324の投与により老齢マウスにおける感染初期の炎症性サイトカインやIFN-bレベルの上昇、生存率の回復が認められた。 以上の結果より、老齢マウスにおける高レベルのGas6は、ウイルス感染に対して不可欠な初期免疫応答を抑制するため、結果的に後期での重度の炎症応答を誘導することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と結果に伴う新規計画を実行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を基盤に、in vitroの実験を合わせることによりGas6産生機構を解明する。
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