2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫制御因子Gas6/Axlによる免疫老化の制御に関する研究
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21H02929
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
柴田 岳彦 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00739196)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感染症 / 重症化 / Gas6 / Axl / 老化 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者は、ウイルスや細菌などの病原体感染に伴う重症化リスクが高い。その要因として加齢に伴う免疫低下や異常が挙げられるが、その発症メカニズムには不明な点が多い。これまでに我々は、若齢マウスにおいてgrowth arrest-specific 6 (Gas6) がその受容体であるAxlを介して重症感染症の発症と関連することを明らかにした。さらに我々は、若齢者と比較して高齢者の血中Gas6濃度が高いことを見出した。これらより、高齢者におけるGas6濃度の上昇が加齢に伴う疾患の発症や重症化の原因になることを予想した。本研究では、加齢に伴うGas6レベルの上昇とインフルエンザウイルス感染症の重症化の関連性を解明することを目的とした。 これまでにわれわれは、加齢に伴いヒト同様にマウスでもGas6レベルが上昇し、ウイルス感染に対して不可欠な初期免疫応答を抑制するため、結果的に感染後期での重度の炎症応答を誘導することを示した。そこで本年度は、老齢マウスにおけるGas6産生細胞の同定と誘導機構の解明を目的とした。 まず、Gas6は老齢マウスの気道上皮細胞に高発現していることがわかった。そこで、in vitroの実験系を用いGas6産生機構を調べることにした。マクロファージの場合、Th2サイトカインの刺激によりGas6産生が誘導されるが、上皮細胞ではそのような現象はみられなかった。またその他種々のサイトカインの刺激による気道上皮細胞からのGas6産生は認められなかった。以上の結果より、加齢に伴う何らかの因子が多量のGas6を誘導し、結果的にウイルス感染に伴う免疫応答を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と結果に伴う新規計画を実行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を基盤に、細胞老化に焦点を合わせ、Gas6産生機構を解明する。さらに加齢以外にもGas6レベルが上昇する疾患モデルを見出し、ウイルス感染症の重症化機構を説明する。
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