2022 Fiscal Year Annual Research Report
復帰変異モザイクモデルマウスを用いた表皮細胞の増殖優位性獲得機序の解明
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21H02943
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
新熊 悟 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00613788)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 表皮水疱症 / 復帰変異モザイク / 相同組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、表皮細胞の増殖優位性を獲得する機序を解明するため、遺伝子編集技術を応用した復帰変異モザイクを有する表皮水疱症モデルマウスを世界で初めて作製し、①増殖優位性を有する表皮幹細胞の同定や②上皮-間葉転換の役割を明らかにする。復帰変異モザイクは体細胞分裂時の相同組換えによって生じるため、複合ヘテロ接合型遺伝子変異を有するマウスを作製する必要がある。Col17遺伝子のexon2とexon3にフレームシフト変異を導入したマウスをそれぞれ作製し、これらのマウスを交配することで、それぞれのアリルのexon2とexon3にフレームシフト変異を有する複合ヘテロCol17欠損マウスの作製に成功した。複合ヘテロCol17欠損マウスの培養表皮細胞に対して、CRISPR/Cas9発現AAVベクターを用いてexon2とexon3の間で遺伝子切断したところ、一部の細胞でCol17発現量の増加が確認でき、復帰変異モザイクを誘導できた。さらにCol17を発現する表皮角化細胞を抽出し、次世代シーケンス(Pacbio)を行ったところ、一部の細胞において相同組換えが生じていることが同定できた。 また、このAAVベクターを複合ヘテロCol17欠損マウスに遺伝子導入し、生体内で復帰変異モザイクを誘導させ、復帰変異モザイクの有無について免疫組織学的解析を用いて解析をおこなったところ、一部において、復帰変異モザイクが生体内で生じていることが証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
復帰変異モザイクを生体内で安定的に作製する目途が立ってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果を基に、以下のような研究を行う予定である。 復帰変異モザイクを誘導した際、複数の細胞にわたり復帰変異モザイクが生じる場合と、1個の細胞のみで復帰変異モザイクが生じている2パターンがあることが分かった。この陽性細胞を細胞増殖や毛包特異的なタンパク質をターゲットとした抗体を用いた免疫組織学的解析を行うことで、復帰変異モザイクが増殖する機序を明らかにする。
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Research Products
(2 results)