2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of pathogenic B cell differentiation associated with genetic risk for systemic lupus erythematosus.
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21H02960
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤尾 圭志 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70401114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 僚久 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10528996)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / 疾患感受性多型 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト免疫担当細胞の遺伝子発現は様々な要素により制御され、遺伝子間の発現の相関からは因果関係は明らかにしがたく、病因性の評価は困難である。しかしながら疾患感受性多型と関連する遺伝子発現やサブセット割合の修飾は、病因と何らか関連することが想定される。具体的には、ある遺伝子Xの発現量が低下するcis-eQTL効果をもつジェノタイプのtrans-QTL効果をみることで、その遺伝子Xのノックダウンの影響を見ることが可能となる。従来のデータベースでは規模が小さくtrans-QTL解析の感度と精度が低いという問題があったが、ImmuNexUTは世界最大規模の機能ゲノムデータベースであり、高い感度と精度で様々なcis-eQTL効果のある感受性多型のtrans-QTL効果を見ることが可能である。2022年度にはABCの分化を促進する可能性のあるT細胞として、Age associated T(ThA)細胞を同定した。そこで本研究では、LRRC25, LYST, ZEB2および他のABCsに関連するモジュール内の遺伝子にeQTL効果を発揮する多型の、免疫担当細胞の割合と遺伝子発現へのtrans-QTL効果を網羅的に評価する。 SLEの新規感受性遺伝子LRRC25は発現が血球系細胞に限られているが、上記の様にIFNシグナル抑制能とオートファジー促進能を持ち、全身性自己免疫疾患を促進する作用と抑制する作用の双方が想定される。2022年度にはLRRC25欠損マウスの解析により、血清IgG産生の亢進、脾臓B細胞、形質芽細胞においてのsXbp1、Prdm1の発現が減弱、LPS、R848存在下でB細胞のIgM、IgG産生の減弱、体重減少、運動障害、早期死亡をきたすマウスが存在することを見出した。これはLRRC25が液性免疫応答を抑制することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度にはLRRC25欠損マウスの解析により、血清IgG産生の亢進、脾臓B細胞、形質芽細胞においてのsXbp1、Prdm1の発現が減弱、LPS、R848存在下でB細胞のIgM、IgG産生の減弱、体重減少、運動障害、早期死亡をきたすマウスが存在することを見出した。これはLRRC25が液性免疫応答を抑制することを示唆しており、日本人SLEの機能ゲノムデータベースで同定したeGene LRRC25が確かに自己免疫疾患発症に関与していることが明らかとなりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はLRRC25欠損マウス及びB細胞特異的LRRC25欠損マウスに能動免疫及びイミキモド投与によるSLEモデル誘導を行い、LRRC25の液性免疫応答における作用を評価する。特にABCs分化におけるLRRC25の作用を、重点的に解析する。また、LRRC25, LYST, ZEB2および他のABCsに関連するモジュール内の遺伝子にeQTL効果を発揮する多型の、免疫担当細胞の割合と遺伝子発現へのtrans-QTL効果を網羅的に評価する。ImmuNexUTに含まれる東京大学アレルギー・リウマチ内科通院中のSLE約160例のコホートにおいて層別化を試みる。
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