2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02964
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
三宅 幸子 順天堂大学, 医学部, 教授 (50266045)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能登 大介 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10598840)
千葉 麻子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40532726)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 自己免疫 / 自己抗体 / B細胞 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、CD25陽性ナイーブB細胞が自己抗体産生細胞に分化してく過程を明らかにするとともに、自己免疫病態下でB細胞の抗体産生を促進する新規T細胞を同定することによって、自己抗体産生にユニークな経路の解明をめざしている。自己抗体産生細胞に分化するB細胞の同定に関する研究では、まず計画に従い、視神経脊髄炎(NMO)患者末梢血ナイーブB細胞から、CD25陽性と陰性の細胞を分離し、CD25陽性が抗体産生細胞に分化しやすいことを確認した。そこで、CD25陽性ナイーブB細胞の特徴を解析するために、NMO、健常人、健常人ワクチン2回接種後の人から、ナイーブB細胞のCD25陽性と陰性の細胞を分離し、RNAseq解析を行った。NMOでは、健常人とワクチン接種後の検体では発現遺伝子が類似していたが、NMOではこれら2群と異なっており、自己免疫に特有の特徴があることが推定され、現在詳細な解析を行なっている。CD25陽性ナイーブB細胞から分化した抗体産生細胞が抗AQP4抗体を産生するかどうか検討を行なったが、抗体産生量が少なく抗AQP4抗体の検出には至らなかった。そこで現在、抗体産生量を増加させる培養法の検討ならびに抗AQP4抗体の検出感度向上についての検討を行なっている。自己抗体産生を助ける新規T細胞の同定に関する研究では、NMO末梢血のシングルセル細胞の解析を行い、健常人と比較して増加しているT細胞集団があるかどうかを検討したところ、CD4+キラー細胞が増加していた。今後、CD4+キラー細胞のNMO患者での増加を確認すると同時に、疾患活動性との相関など、抗体産生へ関与の有無の検討が必要と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己抗体産生細胞に分化するB細胞の同定に関する研究では、計画に従い視神経脊髄炎(NMO)患者末梢血ナイーブB細胞から、CD25陽性と陰性の細胞を分離し、CD25陽性が抗体産生細胞に分化しやすいことを確認した。また、CD25陽性ナイーブB細胞の特徴を解析するために、NMO、健常人、健常人ワクチン2回接種後の人から、ナイーブB細胞のCD25陽性と陰性の細胞を分離し、RNAseq解析を、現在解析中であり、これもほぼ予定通りである。CD25陽性ナイーブB細胞から分化した抗体産生細胞が抗AQP4抗体を産生するかどうか検討を行なったが、抗体産生量が少なく抗AQP4抗体の検出には至らず、実験法の改善が必要となった。そこで現在、抗体産生量を増加させる培養法の検討ならびに抗AQP4抗体の検出感度向上についての検討を行っている。自己抗体産生を助ける新規T細胞の同定に関する研究では、予定どおりNMO末梢血のシングルセル細胞の解析を行った。健常人と比較して増加しているT細胞集団があるかどうかを検討したところ、CD4+キラー細胞が増加していた。さらに解析を進めるとともに、CD4+キラー細胞のNMO患者での増加を確認すると同時に、疾患活動性との相関など、抗体産生へ関与の有無の検討を行う予定であり、ほぼ予定通りといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
自己抗体産生細胞に分化するB細胞の同定については、NMO、健常人、健常人ワクチン2回接種後の人から、ナイーブB細胞のCD25陽性と陰性の細胞を分離し、RNAseq解析を行った。本年度は、その結果を解析し、NMO患者のナイーブB細胞のCD25陽性細胞の特徴を明らかにするとともに、CD25以外のバイオマーカーがあるかどうかについて検討する。これらの実験からCD25と新規でバイオマーカーが見出された場合はその両者を用いて、NMO以外の自己抗体産生が重要な自己免疫疾患として全身性エリテマトーデスと関節リウマチについて、これらの細胞が同様に自己抗体産生細胞に分化するか、また疾患活動性とどのように相関するかについて検討する。CD25陽性ナイーブB細胞中に、自己抗体産生細胞が多く存在するかどうかについて、CD25陽性ナイーブB細胞を抗体産生細胞に分化させ、その培養上清中の抗AQP4抗体の検出を行う。抗体産生量を増加させるための培養条件の検討、また抗AQP4抗体の検出については、AQP4を強制発現させた細胞株を用いて行う。 自己抗体産生を助ける新規T細胞の同定については、NMO末梢血のシングルセル細胞解析から、健常人と比較してCD4+キラー細胞が増加していることを見出したので、CD4+キラー細胞のNMO患者での増加を確認すると同時に、疾患活動性との相関、抗体産生へ関与の有無などを検討する。また、CD4+キラー細胞に抗体産生促進機能があるかどうかをB細胞との共培養系を用いて検証する。NMO以外の自己抗体産生が重要な自己免疫疾患として全身性エリテマトーデスと関節リウマチについて、これらの細胞が同様に自己抗体産生細胞に分化するか、また疾患活動性とどのように相関するかについて検討する。
|