2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21H02997
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松阪 諭 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00372665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CTC |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの進行過程や抗がん剤(特に分子標的治療薬)による治療により、がん細胞は多様に変化することが知られており、リアルタイムにがん細胞の分子レベルの変化をモニタリングすることが必要となってきた。手術や内視鏡検査によるがん細胞の採取は、患者にとって侵襲が高く頻回に行うことは難しい。そこで患者に低侵襲な手技で頻回に施行できる血液から生体内のがん細胞の情報を得ることにより、リアルタイムに適切な治療を選択できる診断システムの構築が切望されている。血液中の血中循環腫瘍細胞(CTC)、およびcfDNAは、がんの新たな診断法として定着しつつあり、多様化する治療法の選択や早期疾患の発見にまで寄与することがわかってきた。CTC、クラスターCTC、血中遊離DNA (cfDNA)の3分画に同時に分離できる装置を、X線リソグラフィーで作るフィルターを利用したサイズ分離を原理に構築し、それぞれの分画から遺伝情報を包括的に取り出す。ヒト末梢血5mlから、前処理などの煩雑な操作を利用することなく、フィルタリングという極めて簡単な操作から2時間以内に、CTC、クラスターCTC、cfDNAの3分画に分離し、それぞれの分画が含む、DNA, RNAなど の配列情報解析、定量解析装置へとシームレスに受け渡す一連の解析システムを構築する。これまで別個に取得されてきたCTC、クラスターCTC、cfDNAの遺伝情報を包括的に取り出すことで、診断に必要な患者情報を最大化することが可能となり、がんの個別化医療の実現を推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液を「CTC」「cfDNA」の分画に同時に分離できる、フィルターを利用したサイズ分離装置を開発し、「CTC」「cfDNA」を組み合わせ生体内でのがん細胞の分子レベル情報をリアルタイムに解析することで、がんに対する治療方針決定のための情報を最大限に引き出すことのできるシステムを開発する。X線リソグラフィーで作製されたフィルター(厳密精密濾過膜)を用いた。がん個別化医療実現のための液性診断においては、「CTC」「cfDNA」の遺伝情報の取得が必須となり、分画した検体から、予想される遺伝情報が得られるかどうかを指標に、分画条件、および核酸の解析条件の至適化を進めた。C TC数がごく少量であることで解析が不安定であることが認められたため、フィルター上に捕捉されたCTCを培養するシステムを確立し、CTCを増殖させることに成功した。 細胞(CTC等)の培養装置及び培養方法を開発し、特許出願及び論文発表を行なった。 出願番号:2022-017529発明の名称: 細胞培養容器 1.細胞を継続して培養するための培養液の交換技術 2.細胞を生きたままフィルタの上で培養するためにフィルタをニッケル(Ni)・パラジウム(Pd)合金で製造した技術
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Strategy for Future Research Activity |
従来の病理的な診断では治療方針が決定できないようながん種に対して、分子プロファイリングから治療方針を決めていこうとする試みは、ニーズが極めて高いがん診断である。令和5年度は、特に膵臓がんで手術症例について、 CTC, クラスターCTC, cfDNAでの遺伝子解析を行い、組織での遺伝子解析結果との相違を探索することを目指す。
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