2022 Fiscal Year Annual Research Report
固形癌に対するCAR-T、ウイルス療法の併用による新規免疫療法の開発
Project/Area Number |
21H02999
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
粕谷 英樹 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00402636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直江 吉則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (50392048)
松村 繁 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60523511)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / CAR-T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は細胞療法や免疫チェックポイント阻害薬が十分な効果を発揮できないアンメットメディカルニーズ難治固形癌の新たな治療法を開発することを目的に、癌抗原とケモカインを同時に搭載した次世代型腫瘍溶解性ウイルスと標識癌抗原を認識するCAR-Tを新たに創造することである。昨年度、野生型HSV1のg34.5遺伝子座にCMVプロモーターにより発現するヒトMesothelin(MSLN)を導入した腫瘍溶解性ウイルス作成した(HSV1-MSLN)。このウイルスは感染した腫瘍でMSLNが発現することを確認した。また、ヒトMSLNに対する一本鎖抗体にCD28膜貫通領域、さらに、CD3細胞内ドメインをタンデムに結合させたレトロウイルスベクターを作成、マウスT細胞に感染させ、ヒトMSLNに対するCAR-T細胞を作製した。このCAR-T細胞はMSLN発現細胞と共培養することにより活性化することを確認した。本年度は、HSV1-MSLNとCAR-T細胞の併用効果をin vivoにおいて評価した。HSV1-MSLNは担癌マウスに投与しても体重減少を起こさなかったことから、安全性は高かった。マウス皮下にマウス膵臓癌細胞Pan02を移植し、腫瘍の大きさが100mm3の大きさに達した時点でHSV1-MSLNを腫瘍内に投与した。その後CAR-T細胞を腫瘍内に投与し、腫瘍の増殖を経時的に測定した。その結果、HSV1-MSLN単独ならびにHSV1-MSLN/CAR-T細胞併用は腫瘍の増殖を著しく抑制した。しかし、HSV1-MSLN/CAR-T細胞併用はHSV1-MSLN単独よりも強い抗腫瘍効果を発揮したが、HSV1-MSLN単独でも強い抗腫瘍効果を発揮したため、優位な併用効果を確認することが出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトMSLN発現腫瘍溶解性ウイルスとヒトMSLN認識CAR-T細胞を併用することにより、in vivoにおいて強い抗腫瘍効果を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は抗原発現腫瘍溶解性ウイルスとCAR-T細胞の併用効果をin vivoで確認できた。今後、併用治療がウイルス単独治療より優位な効果を発揮するかどうか、ウイルスの投与量、投与スケジュールを検討し併用効果を確認する予定である。また、より強い併用効果を発揮するためにウイルスにCAR-T細胞を腫瘍内に誘導するためのケモカインを搭載する。
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