2021 Fiscal Year Annual Research Report
標的抗原欠損バリアントを含む腫瘍に対する効果的な新規細胞輸注療法の開発
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21H03005
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
村岡 大輔 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, ユニット長 (20608955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40374673)
安井 潔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (50372777)
浅井 章良 静岡県立大学, 薬学研究院, 教授 (60381737)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | T細胞 / 腫瘍殺傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子改変技術を用いた細胞輸注療法が、国内外で承認され注目を集めている。これらの治療では、遺伝子改変輸注細胞が腫瘍の発現する特異抗原を認識して癌を殺傷することが期待される。しかし、ヒト臨床腫瘍では、全ての腫瘍細胞が標的抗原を発現しているわけではなく、一部の抗原を欠損したバリアント腫瘍が当治療に対し抵抗性となり、治療効果を著しく減弱させることが問題となっている。申請者は、この様な抗原欠損バリアントを含む新規腫瘍モデルを構築し治療法を検討する中で、「腫瘍が標的抗原を発現しなくとも、T細胞により殺傷される」機構を発見した。本申請研究では、このT細胞による抗原発現に依存しない腫瘍殺傷機構(=抗原非依存的腫瘍殺傷機構)を明らかにすると共に、当知見を基盤とした抗原欠損バリアントを含む腫瘍に対する効果的な細胞輸注療法の開発を目指す。抗原非依存的腫瘍殺傷機構に感受性の腫瘍細胞株(CMS5a; 繊維肉腫腫瘍細胞株)と悲感受性の腫瘍細胞株(CT26;大腸がん細胞株)を用い、当抗原非依存的腫瘍殺傷機構を担う機構の解明を行った。FasLやNKG2A、Granzymeなどに注目し、これらに対するブロッキング抗体を用いて検討した。その結果、本抗原非依存的腫瘍殺傷機構には、Granzymeが中心的な役割を有することを明らかにした。また当殺傷には、細胞間相互作用が必要であることや、腫瘍組織適合抗原複合体を介さないことも明らかにした。今後は、In vivo実験を含め、当殺傷機構にかかわる分子の同定やがん免疫療法における有用性の検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当抗原非依存的腫瘍殺傷機構を担うエフェクター分子の同定に成功した。また、抗原非依存的腫瘍殺傷機構に感受性の腫瘍と悲感受性腫瘍の網羅的遺伝子発現解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、In vivo解析を進めながら、本殺傷機構の重要性を含めて検討する。また、網羅的遺伝子発現データの解析を進め、抗原非依存的腫瘍殺傷機構に感受性に関わる分子を明らかにしていく。
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