2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of glycan structures in tumor antigens using high-density lectin arrays
Project/Area Number |
21H03009
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
和田 聡 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30420102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘野 浩章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30450670)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍抗原 / 糖鎖構造 / 糖蛋白 / レクチンアレイ / CAR-T |
Outline of Annual Research Achievements |
キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法(CAR-T療法)は有望ながん免疫療法として注目され、血液がんにおいて高い抗腫瘍効果が認められた。一方、固形がんでは明らかな抗腫瘍効果はまだ認めていない。その原因として標的抗原が少ないことが挙げられる。申請者はこれまでに固形がんの根幹に関わる分子としてPIGRを同定した。PIGRは腫瘍細胞で強い発現が見られるが、一方で一部の正常細胞でも発現が認められる。そこで本研究では、正常細胞と腫瘍細胞を究極的に見分ける方法を確立するために、正常細胞と腫瘍細胞でのPIGR上の糖鎖構造の相違について検討を行った。 糖鎖解析は非常に複雑であり、遺伝子解析における次世代シーケンサーのような手軽に解析できるツールがないため開発が進んでいないが、本研究では世界最先端のグライコーム解析を用いて、正常細胞と腫瘍細胞におけるPIGR上の糖鎖構造について解析を行った。 膵臓がん腫瘍組織検体(90症例)を用いたPIGRの免疫染色の解析結果から、膵臓がん腫瘍組織11検体分において正常腸管細胞と腫瘍細胞の両方にPIGR分子の発現を認めた。そこで、この膵臓がん腫瘍組織11検体を用いて正常腸管細胞及び腫瘍細胞をレーザーマイクロダイゼクション法(LMD法)用いて分離した。次に分離した細胞のPIGR分子を免疫沈降にて単離してそれぞれレクチンアレイ解析を行った。現在その解析中である。また、PIGR分子に対する抗体も作製しており、現在抗原ワクチン後の抗体を採取し、ハイブリドーマを作製中である。今後作製した抗体が認識する糖タンパクについても解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腫瘍組織から正常細胞と腫瘍細胞をレーザーマイクロダイゼクション法にて採取する段階において、PIGR分子を免疫沈降にて単離しレクチンアレイ解析を行うのに十分な量を採取するのに苦労している。遅れてはいるが着実に進んではいるため、このままこの方法を用いて研究を続ける。またバックアップデータ解析のため、正常細胞株と腫瘍細胞株を用いたPIGR解析も同時に進めており、こちらは順調に進んでいる。抗原上の糖鎖プロファイルの解析と共に、PIGR分子に対する抗体作製からの抗体認識による糖タンパク解析も進めており、こちらの抗体作製は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.正常細胞・腫瘍細胞に発現するPIGR分子の糖鎖構造を認識するレクチンの同定 膵臓がん腫瘍組織11検体から採取した腫瘍細胞及び正常腸管細胞由来のPIGR分子における高密度レクチンアレイ解析を行う。11検体において発現解析を施行し、正常腸管細胞よりも腫瘍細胞上のPIGR分子に発現の高い糖鎖を認識するレクチンを同定する。 2.同定したレクチン及び抗PIGR抗体を用いた免疫染色解析 同定したレクチン及び抗PIGR抗体を用いて、膵臓がん腫瘍組織検体90例分の二重免疫染色を行い、腫瘍細胞にのみ発現を認め正常細胞には発現を認めない事を確認する。また、同定したレクチン及びPIGR分子に対する抗体を用いて、正常組織アレイにおける発現解析を行い、他の正常組織は認識しないことを確認する。 3.細胞株を用いた解析 正常上皮細胞株(HlnEpC, HCoEpiC, H6c7)と腫瘍細胞株(SUIT-2, ASPC-1, MIAPaCa-2)及びPIGR強制発現細胞株(293, PANC1)について、PIGR上の糖鎖を高密度レクチンアレイ法にて比較検討する。また、高密度レクチンアレイ法にて特定分子に絞れない場合には、バックアップとして大阪大学蛋白質研究所の質量分析器を使用して解析し、レクチンアレイデータと統合して解析を行う。
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