2022 Fiscal Year Annual Research Report
Interaction between GRK2 interactome and mitochondrial dysfunction for the development of chronic pain
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21H03026
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60347466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30303845)
大橋 憲太郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50332953)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GRK2 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国において慢性痛は高い有病率を示し、莫大な経済コストが大きな社会問題となっている。慢性痛の多くは難治性であり、新たな治療法の確立が急務である。Gタンパク質共役型受容体キナーゼ(GRK)2は細胞内情報伝達機構に関わるタンパクキナーゼの一種である。我々は、GRK2が一次知覚神経に発現し、GRK2が内因性鎮痛機構の起点として働くことを示している。ミトコンドリアは細胞機能の基盤を担う小器官である。細胞内外の環境変化はミトコンドリアへの負荷となり、その機能低下はさまざまな慢性疾患の原因となる(ミトコンドリアストレス)。我々は、慢性痛モデルにおいて一次知覚神経にミトコンドリアストレスが生じることを報じている。本研究ではGRK2とGRK2に制御されるシグナル因子の一群(GRK2インタラクトーム)と慢性痛の関連についてミトコンドリアストレスと関連して解析をすすめる。 昨年度までの実績として、我々は、DRGにおけるGRK2インタラクトームの網羅的解析を実施した。術後痛モデルラットにGRK2阻害剤を投与し、後根神経節におけるリン酸化タンパクの網羅的解析を行った。その結果、Vehicle投与群に対してタンパクリン酸化の程度が異なる分子が同定された。 今年度は、術後痛が慢性化するモデルの1つとして、オピオイド誘発性術後慢性痛モデルを確立した。モルヒネを7日間にわたり連続投与すると、未刺激な状態では疼痛閾値は正常であるが、術後痛モデルを作成すると痛覚過敏がおよそ30日間と遷延することを確認した。今後、このモデルにおけるGRK2の活性とミトコンドリアストレスの状態を調査し、両者の関連について解析することで、術後痛が慢性化するメカニズムを解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オピオイド誘発性術後慢性痛モデルの作成に成功し、後根神経節の機能評価を行う予備的実験が終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア機能を改善する薬剤が、オピオイド誘発性術後慢性痛モデルにおける疼痛の慢性化を抑止するかどうか検証する。また、オピオイド誘発性術後慢性痛モデルにおいて得られた知覚神経の病態が、慢性痛全体においても関与しているかどうかを検証するため、神経障害性疼痛モデル、炎症性疼痛モデル、糖尿病性神経障害モデルなど、さまざまな慢性痛モデルを用いて確認する。
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