2022 Fiscal Year Annual Research Report
鼻性NK/T細胞リンパ腫を治癒に導く複合的免疫療法の確立
Project/Area Number |
21H03082
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
原渕 保明 旭川医科大学, 医学部, 名誉教授 (80208686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊井 琢美 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00596306)
大原 賢三 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20596308)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鼻性NK/T細胞リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
鼻性NK/T細胞リンパ腫がCCR4を発現しており、CCL17を介したポジティブフィードバックを形成していることを明らかとした。また、抗CCR4抗体(Mogamulizumab)がNK細胞を介した抗体依存性細胞傷害活性を増強することも見出した。更に、TGF-bやプロスタグランジンE2などの免疫抑制因子が本腫瘍から産生されることも明らかとなり、COX2阻害薬が鼻性NK/T細胞リンパ腫に対する免疫治療のアジュバントとして有効であることが見出された。 申請者らはこれまでにp53などの多くの腫瘍抗原から腫瘍特異的なT細胞を誘導可能なエピトープペプチドを同定してきた(Ohara et al. OncoImmunology, 2018など)。本検討では、これまで構築してきたペプチド解析アルゴリズムを用いて本腫瘍に発現しているc-MetやPD-L1などの腫瘍抗原および、そのエピトープを同定した。具体的には、発現している腫瘍抗原をTCGAデータベースで検索し、発現が予測されるタンパクの腫瘍細胞株および患者組織における発現を、フローサイトメトリーやウエスタンブロット、免疫組織化学染色で明らかにした。次に、IEDBやSYFPEITHIによるアルゴリズム解析を用いて複数のHLAに結合可能なペプチドを推定、合成する。このペプチドと、磁気ビーズ法で分離したドナー由来樹状細胞およびT細胞を共培養/クローニングすることで、腫瘍特異的T細胞株を樹立した。樹立した抗原特異的なT細胞のHLA拘束性は、抗HLA抗体による増殖阻害およびELISA法およびサイトカインの細胞内染色で確認し、実際に抗腫瘍効果があることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた成果を統合させ、患者の治療に直結する新たな複合的免疫療法の開発を目指す。具体的には、同定したペプチドで樹立した腫瘍特異的T細胞の腫瘍細胞への応答性が免疫チェックポイント阻害薬やケモカイン阻害薬、分子標的薬で増強するかを、ELISA法および細胞内染色によるGranzyme B産性能およびLDHやCFSE/7-AADラベリングを用いた細胞障害活性アッセイで評価する。さらに、NOD/Shi-scid.IL-2RγKO (NOG)マウスに腫瘍細胞を接種した異種移植モデルに、ペプチドで樹立したT細胞株を尾静脈より移入してT細胞による抗腫瘍応答がこれらのアジュバントにより増強するか検討する。これらの成果に基づき、鼻性NK/T細胞リンパ腫に対するペプチドワクチンもしくは養子免疫療法へのアジュバントの有用性を証明する。
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