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2022 Fiscal Year Annual Research Report

Biological action of PTH/PTHrP on bone-specific blood vessels and osteo-vascular interaction

Research Project

Project/Area Number 21H03103
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

網塚 憲生  北海道大学, 歯学研究院, 教授 (30242431)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 長谷川 智香  北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (50739349)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords骨芽細胞 / 骨特異的血管 / PTH / PTHrP / 骨血管連関
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、PTH/PTHrPが成熟骨芽細胞、骨芽細胞前駆細胞、血管内皮細胞・平滑筋細胞、あるいは、未分化間葉系細胞にどのように作用するのか、特に、未分化間葉系細胞がどのように骨芽細胞や血管系細胞に分化してゆくのかダイナミックな解析を行うことを計画した。具体的には、タモキシフェン投与でGli1陽性細胞がtdTomato陽性を示す遺伝子組み換えマウスを作成してin vivo解析を進めた。前年度の結果では、成獣期マウスはタモキシフェン投与でtdTomato陽性を示すGli1陽性未分化間葉系細胞が血管周囲細胞および骨芽細胞系細胞に分化していることを明らかにした。令和4年度では、さらに、PTH投与直後の成獣期マウスではGli1陽性細胞は成長板軟骨と関節軟骨、および、軟骨・骨移行部に認められたが、その後、Gli1陽性細胞は、骨幹端の骨梁増加に一致して経時的に広く分布した。しかし、Gli1陽性細胞は皮質骨および骨髄には存在しないことが明らかとなった。骨幹端のGli1陽性細胞は骨梁間に広がり、血管平滑筋細胞だけでなく、骨芽細胞前駆細胞層内でαSMA陽性細胞ばかりでなく、podoplanin陽性骨芽細胞と骨細胞への分化が確認された。一方で、骨芽細胞特異的PTHrP過剰発現マウス胎仔を組織学的に検索すると、典型的な皮質骨の形成は認められず、骨端軟骨直下にはc-Kit陽性/ALP陽性/αSMA陽性骨芽細胞前駆細胞の線維層が発達しており、endomucin陽性血管およびTRAP陽性破骨細胞はわずかにしか観察されなかった。以上から、胎生期から成獣期にかけて、PTH/PTHrPは未分化間葉系細胞を増加させたあと、胎生期では骨幹端の骨梁形成にかかわる骨芽細胞系細胞に、一方、成獣期では骨芽細胞系細胞と血管系細胞の両方に分化させること、しかし、皮質骨の骨芽細胞には分化させないことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

type I collagen promoterを用いた骨芽細胞特異的PTHrP過剰産生マウスの胎仔を解析したところ、endomucin陽性血管およびTRAP陽性破骨細胞はわずかにしか観察されなかったが、c-Kit陽性/ALP陽性/αSMA陽性未分化間葉系細胞(骨芽細胞前駆細胞を含む)の厚い線維層が形成されており、さらに、典型的な皮質骨の形成は認められなかった。このことは、胎生期において、PTH/PTHrPシグナルは、血管系細胞よりも、未分化間葉系細胞の増殖および骨芽細胞系細胞の分化に有意に作用するだけでなく、皮質骨の骨芽細胞分化には大きく作用しないことが示唆された。このような胎生期におけるPTH/PTHrP作用を踏まえて、成獣期Gli1/tdTomatoマウスにPTHを投与すると、Gli1陽性細胞は、骨幹端の骨梁増加に一致して広く分布したが、皮質骨には存在しないことが明らかとなった。よって、PTHPTHrPシグナルによって増殖する未分化間葉系細胞は骨梁の骨芽細胞に分化するが皮質骨の骨芽細胞には分化しない可能性が、胎生期モデルマウスだけではなく成獣期マウスにおいてもほぼ一致した所見によって強く示唆されたと考えている。以上、令和4年度の研究進捗状況は、ほぼ順調な所見が得られていると考えられた。しかし一方で、骨芽細胞特異的PTHrP過剰産生マウス胎仔では血管系細胞の局在がわずかであったが、成獣期Gli1/tdTomatoマウスでは、PTH投与後で血管系細胞も増加していたことは、今後の課題になると考えられた。次年度では、主にPTHに対する皮質骨の骨芽細胞の反応を検索するが、合わせて、骨梁と皮質骨における血管系細胞についても解析を進めたい。

Strategy for Future Research Activity

令和4年度の研究成果では、Gli1陽性未分化間葉系細胞は、PTH投与によって細胞増殖し、骨幹端の血管系細胞あるいは骨芽細胞系細胞へ分化する可能性が推察された。一方、骨髄や皮質骨ではGli1陽性細胞が認められず、これらの細胞はCXCL12-abundant reticular cell(CAR cell)のような骨髄間質細胞と細胞由来が異なることが示唆された。このことは、PTHは、その分化過程でGli1が作用した細胞を増殖させ、骨幹端部の骨梁の骨芽細胞や血管系細胞への分化を促進するが、皮質骨の骨芽細胞は、Gli1陽性をその分化過程で発現せず、また、PTHによっても増加しないことが強く示唆された。このことは、骨芽細胞特異的PTHrP過剰発現マウス胎仔を観察しても、典型的な皮質骨が形成されていなかったことと矛盾しない。従って、骨幹端の骨梁の骨芽細胞と皮質骨の骨芽細胞では、PTHに対する反応が異なる可能性があり、当初、令和5年度で計画していたPTHによる皮質骨の反応を予定どおり施行する。特に、皮質骨骨内膜側の骨芽細胞・前骨芽細胞は、骨梁とは異なり、厚い細胞層を形成せず、むしろ、破骨細胞と血管が連なって皮質骨へと侵入することを、研究代表者は見出している。従って、骨梁と皮質骨の骨芽細胞のPTHに対する反応の違い、具体的には、骨芽細胞や骨細胞によるVEGF産生(血管新生)、RANKL(破骨細胞誘導)、骨特異的血管と破骨細胞間でPDGFR-β/PDGF-bb発現などを検索する予定である。

  • Research Products

    (11 results)

All 2023 2022

All Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Peer Reviewed: 4 results) Presentation (6 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Deletion of Tfam in Prx1-Cre expressing limb mesenchyme results in spontaneous bone fractures2022

    • Author(s)
      Yoshioka Hiroki、Komura Shingo、Kuramitsu Norishige、Goto Atsushi、Hasegawa Tomoka、Amizuka Norio、Ishimoto Takuya、Ozasa Ryosuke、Nakano Takayoshi、Imai Yuuki、Akiyama Haruhiko
    • Journal Title

      Journal of Bone and Mineral Metabolism

      Volume: 40 Pages: 839~852

    • DOI

      10.1007/s00774-022-01354-2

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Morphological variety of capillary ends invading the epiphyseal plate in rat femora using scanning electron microscopy with osmium maceration2022

    • Author(s)
      Yamamoto Tsuneyuki、Takahashi Shigeru、Hasegawa Tomoka、Hongo Hiromi、Amizuka Norio
    • Journal Title

      Journal of Oral Biosciences

      Volume: 64 Pages: 346~351

    • DOI

      10.1016/j.job.2022.04.006

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Histochemical examination of blood vessels in murine femora with intermittent PTH administration2022

    • Author(s)
      Maruoka Haruhi、Zhao Shen、Yoshino Hirona、Abe Miki、Yamamoto Tomomaya、Hongo Hiromi、Haraguchi-Kitakamae Mai、Nasoori Alireza、Ishizu Hotaka、Nakajima Yuhi、Omaki Masayuki、Shimizu Tomohiro、Iwasaki Norimasa、Luiz de Freitas Paulo Henrique、Li Minqi、Hasegawa Tomoka
    • Journal Title

      Journal of Oral Biosciences

      Volume: 64 Pages: 329~336

    • DOI

      10.1016/j.job.2022.05.003

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Histochemical assessment on osteocytic osteolysis in lactating mice fed with a calcium-insufficient diet2022

    • Author(s)
      Hongo Hiromi、Yokoyama Ayako、Yamada-Sekiguchi Tamaki、Yamamoto Tomomaya、Yoshino Hirona、Abe Miki、Haraguchi-Kitakamae Mai、Luiz de Freitas Paulo Henrique、Hasegawa Tomoka、Li Minqi
    • Journal Title

      Journal of Oral Biosciences

      Volume: 64 Pages: 422~430

    • DOI

      10.1016/j.job.2022.09.003

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] 骨組織に対する副甲状腺ホルモン作用の組織学的知見2022

    • Author(s)
      長谷川智香、山本知真也、本郷裕美、阿部未来、網塚憲生
    • Journal Title

      第41回日本骨形態計測学会記録集

      Volume: - Pages: 40~41

  • [Presentation] 副甲状腺ホルモン投与による骨芽細胞の基質石灰化と骨細胞分化の組織化学的解析2023

    • Author(s)
      北構-原口真衣、長谷川智香、網塚憲生、笹野泰之
    • Organizer
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [Presentation] PTH/PTHrP 製剤の骨形成における組織学的作用機序 ―動物モデルを用いた基礎研究―2022

    • Author(s)
      網塚憲生、阿部未来、槙野彰人、長谷川智香
    • Organizer
      第95回日本整形外科学会学術総会
    • Invited
  • [Presentation] 骨芽細胞における形態学知見 -過去から近年までの研究2022

    • Author(s)
      網塚憲生、長谷川智香
    • Organizer
      第40回日本骨代謝学会学術集会
    • Invited
  • [Presentation] 骨芽細胞特異的に副甲状腺ホルモン関連ペプチドを過剰発現させたマウスの長管骨の組織化学的解析及び遺伝子解析2022

    • Author(s)
      山本知真也、阿部未来、吉野弘菜、原口真衣、網塚憲生、長谷川智香
    • Organizer
      第40回日本骨代謝学会学術集会
  • [Presentation] PTH 製剤投与の皮質骨多孔化を誘導する破骨細胞・血管連関の微細構造学的解明2022

    • Author(s)
      阿部未来、山本知真也、本郷裕美、吉野弘菜、網塚憲生、長谷川智香
    • Organizer
      第40回日本骨代謝学会学術集会
  • [Presentation] 副甲状腺ホルモン製剤投与による皮質骨多孔化の微細構造学的解明2022

    • Author(s)
      阿部未来、山本知真也、本郷裕美、吉野弘菜、網塚憲生、長谷川智香
    • Organizer
      日本解剖学会第68回東北・北海道連合支部学術集会

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Published: 2023-12-25  

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