2022 Fiscal Year Annual Research Report
類骨オルガノイドを用いた革新的造骨再生医療実用化のための研究基盤構築
Project/Area Number |
21H03116
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正寛 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40215562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 雅彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (10356488)
八幡 祥生 東北大学, 大学病院, 講師 (30549944)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
田中 志典 東北大学, 大学病院, 講師 (60637958)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 歯周組織 / 骨芽細胞 / 足場 |
Outline of Annual Research Achievements |
100年健康時代を迎える我が国において、歯周病は口腔機能低下ばかりでなく心臓血管病、消化器疾患および糖尿病を含む内分泌疾患を増悪化させるため健康寿命の延長のみならず全身疾患予防ためにも重要になる。そのため、政府は国民皆歯科健診を行うことで歯周病を予防して健康寿命の延長し医療費抑制を目指す方針を発表している。一方で、超高齢社会になり高齢者の残存歯数が増加するとともに、歯周病罹患患者が増加している。歯周病は骨の炎症性吸収を特徴としており、その治療には全身疾患の増悪の原因となる炎症組織の外科的切除、抗炎症療法に加え、骨再生医療が必須になる。このような再生医療を実現するために、研究代表者の齋藤はヒト顎骨から独自の酵素消化法にてHAOBの分離培養技術を世界に先駆けて確立してきた。これまでマウス頭蓋冠よりHAOBと同等の術式で分離培養したマウス由来未分化骨芽細胞とポリ乳酸性の足場と組み合わせ、マウス顎骨欠損モデルに自家移植することで垂直方向への造骨効果を有していることを示してきた。 HAOBを造骨能を有する再生医療等製品として開発するため、GMP基準に対応した、トレーサビリティー可能な原材料で作製した培地を作成し、顎骨からの骨片採取および細胞分離培養プロトコールの確立を行った。同プロトコールを用いて再生医療の対象となる50歳代を含む15名以上の患者サンプルからHAOBの分離培養に成功してきた。次に同プロトコールで分離培養したHAOBの造骨能力を検証するため、承認済の骨補填材を用いて、免疫不全マウスへの背部皮下移植(異種移植)実験を実施した。その結果、HAOB+骨補填材移植群で一部骨形成が認められたが、他の移植群では骨形成は観察されなかった。この結果よりHAOBは造骨能力を有する細胞であり、足場として組み合わせることで造骨を目的とした治療に応用できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたHAOBを臨床応用するために必要なGMP準拠している培地の調整に成功し、骨形成能力を有することを証明してきた
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Strategy for Future Research Activity |
HAOBを用いて早期に造骨を可能とし、水平性骨欠損に対応する組織工学技術を開発する。そのために下記の研究を実施する。 a.HAOB組織工学の確立:計画1ではBonaqを用いて類骨オルガノイドの足場に適した構造と強度を有した材料を開発する(HAOB-Bonaq)。骨形成能力は免疫不全マウスへの移植実験で確認を行う。計画1で造骨が認められない場合、計画2でゼラチンを主成分とする生分解ゲルを複合したポリ乳酸線維足場材を作製し、移植後に中空構造を形成することで血管新生作用を発揮する足場材を開発する。計画1,計画2ともに免疫不全マウスを用いた移植実験で造骨効果を確認した後にbの研究へ移行する。 b. 非臨床POCの確立:a. で作製しHAOB-Bonaqの水平性骨欠損再生能力を検証するためにマイクロミニブタを用いた水平性骨欠損モデルを用いて自家移植プロトコールを確立する。本実験ではブタ由来の未分化骨芽細胞様細胞の分離培養を行い、研究計画1および3で開発した技術を用いてHAOB-Bonaqを作製し、水平性骨欠損部位へ自家移植する。その際に生じる上皮欠損部分については、GC社製エラシールドを設置したオープンバリアメンブレン技術にて対応する。得られた再生骨の機能解析として、CT解析、組織解析、ナノインデンテーション解析による強度測定、インプラント埋入試験を行い、咀嚼に耐える歯槽骨を再生しているかを検証する。
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Research Products
(8 results)