2021 Fiscal Year Annual Research Report
加熱式タバコなど新規タバコ関連商品の有害性を動物実験より評価し健康被害を予防する
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21H03189
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
欅田 尚樹 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (90178020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加熱式タバコ / 有害性物質 / FCTC / 曝露 / 動物実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
喫煙者はニコチン依存状態にある。加熱式タバコから発生する化学物質濃度は、紙巻きタバコに比較すると低濃度のものが多いが、喫煙者は無意識にうちに血中ニコチン濃度が一定レベルまで吸煙している。そのため、単位ニコチン濃度あたりの有害化学物質の摂取量を比較すると紙巻きタバコと同等かそれ以上になるものも多数見出された。 本研究課題では、タバコ由来物質による曝露の影響を動物モデルで解析することを計画している。特に、その曝露の経路から肺での炎症に焦点を当てている。タバコ由来物質を用いて肺の炎症を評価するにあたり、その陽性対照群の設定も重要である。そこで、抗がん剤としても使用され、肺での炎症を惹起することで汎用されているブレオマイシンを用いたモデルシステムの構築を行った。ブレオマイシンを0.5 mg或いは0.25 mg/10週令雄性BALB/cマウスに気管内投与し、3日後にマウスから試料を調整した。肺胞洗浄液中の炎症性サイトカイン、浸潤細胞の解析を行ったところ、0.25 mgの投与でも十分な炎症性サイトカインの誘導(IL-6など)が認められた。浸潤してきた細胞は、CD11b陽性で、F4/80が陰性であったため、好中球を想起したが、好酸球性炎症も考えられるため、現在そのマーカーであるSigrecF(CD170)の解析を行っている。興味深いのは全身性に影響があり、脾臓ではその重量の減少するものの、細胞分裂促進剤ConAに対する反応が亢進していた。このシステムとの比較を行うことで、タバコ由来物質の肺炎症を評価する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有害成分の解析は進んでいるが、マウス曝露実験に関しては、当初予定の曝露装置より、より安定した曝露装置の整備を行なったため実際の鼻部曝露までは実施できなかったところである。従って、やや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
加熱式タバコの有害成分による生体影響を評価するために、まずは紙巻きタバコ主流煙及び加熱式タバコ主流エアロゾルの抽出液をマウス気管内投与した際の一般毒性、免疫学的変化を観察したのち、計画に則り、マウス鼻部曝露を実施し、曝露マーカーとともに各種炎症、免疫学的マーカーについて検索を実施する。
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