2021 Fiscal Year Annual Research Report
運動意図に同期した体性感覚刺激を用いた自己身体として認知するサイボーグ義手の実現
Project/Area Number |
21H03300
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
加藤 龍 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70516905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 浩史 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90271634)
高木 岳彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臓器・運動器病態外科部, 部長 (00348682)
児玉 三彦 東海大学, 医学部, 准教授 (90317777)
吉田 進二 東海大学, 医学部, 講師 (80464882)
山野井 佑介 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特任助教 (40870184)
矢吹 佳子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特任研究員 (80774017)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイボーグ義手 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,自己身体として身体認知を可能にするサイボーグ義手の開発とその方法論を構築し,生来身体に近づいた自然な操作感を実現する次世代の実用的なサイボーグ義手の実現を目的とする.2021年度の成果は以下の4点である. a)身体認知を促進させる体性感覚フィードバックの実現のために,義手を装着するソケット内に設置可能な超薄型多点振動シートを開発した.形状記憶合金を薄板に配置し,高速で伸縮させ薄板を振動させることで,厚さ2mm程度の柔軟な振動子を実現した.これにより,従来の10mm程度の振動子と同様の刺激・認識精度を実現した. b)操作集中や操作負担を軽減させる制御手法を実現するために,義手ハンドに超小型距離画像センサを配置し,距離画像を用いて深層学習により物体形状を認識し把持姿勢を決定し,筋電で把持動作の決定を行う手法を構築した.これにより日常生活動作の85%程度をカバーできる3種の把持姿勢,2種の手首姿勢に関して90%以上の識別率で手指動作の識別可能にし不自然な操作力が必要がなく操作可能となった. c)常時装着が可能な多自由度サイボーグ義手の義手装飾グローブの開発を行った.当初予定より開発の柔軟度を向上させるため,新たにゴムライク樹脂の3次元造形機を導入し,皮膚程度の柔軟さをもつ装飾グローブの造形を可能にした.さらに生体計測用ゴム電極を用いた超薄型の筋電センサバンドを開発し皮膚への密着性を高め安定的な信号計測を可能にした.手先重量300g,総重量1kg程度の上腕義手(手指自由度4,手首1,肘1)を開発した.4名の上腕切断者用の義手を準備をし,2022年度の身体認知の検証を行うための準備を行った. d)義手の長期使用における身体認知への影響を調査するための準備として,東海大学医学部,成育医療研究センターと連携し,筋電義手の被験者を募集し,参加同意や上肢機能の臨床評価指標を決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度については,身体認知を促進させる運動意図に同期した体性感覚フィードバック方法を検討するための研究環境の構築に,成果と費用,研究時間を配分した結果となった.そのため,2022年度に実施予定であった常時装着可能なサイボーグ義手の基礎技術(外皮・皮下組織を表現する柔軟な樹脂での完全防水や柔軟なセンサ・振動子技術,多自由度ロボットハンドアームの開発など).ゆえにその点においては,当初の計画以上に進展していると評価できる.また、研究開発を前倒したこと,またコロナ禍での感染防止の観点から被験者を伴う検証が予定よりは遅れており,そのため2022年度は,多くの被験者を用いた身体認知評価に関する検証を行う予定である.上記のことから,全体としてはおおむね順調に進んでいると評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2021年度に身体認知を促進させる運動意図に同期した体性感覚フィードバック方法を検討の準備がおおむね完成したため,多種の義手運動に対する感覚FB刺激に関する様々な時間条件・空間条件を変化させたときに操作者が感じる身体認知度を主観指標,行動指標,脳活動指標で評価し,身体認知を強く生じさせる刺激パラメータの同定を行う予定である.また行動指標,脳活動指標の2指標と主観指標との相関性を調査し,相関性の強い賦活部位の活動量を特定し,身体認知度が高くなる感覚フィードバック条件を明らかにする.さらに,常時装着が可能な他自由度サイボーグ義手やその制御手法の改良を進め,義手の長期使用における上肢切断者・欠損者に対する臨床評価をスタートさせる予定である.また本研究の成果公表を引き続き行い雑誌論文の投稿掲載を行う予定である.
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Research Products
(4 results)