2022 Fiscal Year Annual Research Report
言語機能回復に伴う脳内ネットワーク再組織化の構造的メカニズムの解明
Project/Area Number |
21H03301
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中嶋 理帆 金沢大学, 保健学系, 助教 (60614865)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 治道 金沢大学, 医学系, 客員教授 (20135007)
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
木下 雅史 金沢大学, 医学系, 講師 (50525045)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 機能シフト / 言語 / 再組織化 / グリオーマ / 覚醒下手術 / 安静時機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
リハビリテーション医療において脳の可塑性は極めて重要な意味を持つ.それは脳の可塑性が期待できるか否かにより,治療方針が全く異なるためである.本研究プロジェクトでは言語機能に着目し,言語機能シフトの法則および構造的メカニズムを解明することを目標とする.さらに,言語機能シフトの要となる領域を明らかにし,脳可塑性の有無に基づく革新的リハビリテーション治療指針の確立を目指す.本研究プロジェクトは,従来のリハビリテーション治療方針の概念を抜本的に変革するだけでなく,脳の可塑性の根源に迫ることから脳科学へも大きなインパクトを与えることが期待される. 本研究は言語機能シフトの法則とその構造的メカニズムを明らかにすることを目標とする.本研究は下記4つのステップでプロジェクトを展開する.1) 言語機能シフトマップを作成,2) 言語機能シフトの条件・法則を解明,3) 言語機能シフトの機能的・構造的メカニズムを解明,4) 覚醒下手術での検証を経て,最終的には脳可塑性を軸とした新規リハビリテーション治療指針を確立する. 初年度は,ステップ1および2を実施した.覚醒下マッピング所見と画像統計解析を用いて,機能シフトを来しやすい場所と来しにくい場所を同定した. 2年目は,ステップ3として,安静時機能的MRIを用い,言語機能のシフトの法則を解明した.また,言語機能にはシフトの限界となる領域が存在し,その領域を摘出すると永続する障害の原因となる可能性が示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,覚醒下マッピング所見と画像統計解析を用いて,機能シフトを来しやすい場所と来しにくい場所を同定した.病変が言語野から離れたところにある遠隔群と,直上・近傍群に分け,覚醒下手術における言語機能の陽性所見出現率を算出すると,直上・近傍群は遠隔群に比べて広い範囲に言語の陽性所見が分布することが分かった.一方で,病変が進展しても,機能が移動しない場所が存在した.また,本領域は画像統計解析で同定された,恒久的障害を残す領域と一致した. 2年目は,安静時機能的MRIを用い,グラフ理論指数を算出することにより,機能シフトの法則を明らかにした.この機能シフトの法則は,覚醒下マッピングで明らかになったシフトの法則と一致した.さらに,言語機能のシフト先が摘出されると,言語障害は慢性期まで残存した.従って,本領域が言語機能のシフトの限界と推察された.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,まず,拡散テンソル画像を用い,機能回復の法則と脳の浅層ネットワークの関連を解明する.また,これまでに解明した言語機能のシフトの法則を集約し,機能回復の法則と,機能回復に伴うネットワークの変化,およびそのメカニズムをモデル化する.なお,2年目までの研究結果については論文投稿作業を進めており,継続して実施する.
|
Research Products
(6 results)