2021 Fiscal Year Annual Research Report
Clarifying the curling mechanism of a stone moving on ice and is application to curling games
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21H03314
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀田 貴雄 北見工業大学, 工学部, 教授 (00233974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 等 北見工業大学, 工学部, 教授 (60344553)
原田 康浩 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80198928)
白川 龍生 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50344552)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カーリング / ストーン / カーリングストーン / 曲がるメカニズムの解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去100年間の研究によっても解明されておらず、現在でも定説がない「氷上を滑るストーンがなぜ曲がるのか」を解明することを目的として研究を進めた。2021年度は(1)氷上を滑るストーンの精密な軌跡の測定(亀田)、(2) カーリングにおけるスウィーピングの効果の解明(亀田)、(3)氷上を滑るストーンの振動解析(白川、佐渡)、(4)氷上に形成される小突起(ペブル)の形状およびその分布の解明(原田)、(5)氷上を滑るストーンによるペブルの形状変化の解明(柳敏*、亀田)、(6)低温室に設置した実験用氷結路でのストーンの精密計測実験の実施(佐渡*,亀田)、を実施した。ここで、*は研究協力者を意味する。 これらの計測実験により、氷面に形成されたペブルの数密度によるストーンの軌跡の変化(ストーンの位置座標の時間分解能は0.4sまたは40 ms)氷上を進むストーンの3次元の加速度・角速度データ(時間分解能は1msまたは20ms)、圧力フィルムおよび接写による氷上のペブルの水平分布、ストーンの通過によるペブル上端面の摩耗量、氷面でのブラシのスウィーピングによる氷上のペブルの形状変化、ペブル通過時のストーンの詳細な運動の変化、などを明らかにすることができた。得られた成果の一部は雪氷研究大会(雪氷分野の全国規模の学会)で発表をした。 なお、これらの観測データは氷上を進むストーンが曲がるメカにズムを明らかにする上での重要な観測データであり、今後さらに詳細な解析を実施する予定である。 これらの計測実験の中で、(1)から(5)は北見工業大学に隣接するアルゴグラフィックス北見カーリングホールで実施し、(6)は北見工業大学の低温室で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施の概要に記した(1)から(6)の進捗状況を以下にまとめる。 (1)氷上を滑るストーンの精密な軌跡の測定(亀田):北見工業大学に隣接するアルゴグラフィックス北見カーリングホールで、ペブルの数密度の異なる氷面を製作し、その氷面を使ってストーンの軌跡を計測した。その結果、ストーンの軌跡は、ストーンが回転する速度とともに氷上のペブルの数密度の影響を受けていることがわかった。(2)カーリングにおけるスウィーピングの効果の解明(亀田):氷面でブラシを用いたスウィーピングによるペブルの形状が変化することが明らかになった。また、スウィーピングによるストーンの軌跡の変化もおおよそ明らかにすることができた。(3)氷上を滑るストーンの振動解析(白川,佐渡):アルゴグラフィックス北見カーリングホールでの実験により,3次元での加速度および角速度データを得ることができた。(4) 氷上に形成される小突起(ペブル)の形状および分布の解明(原田):60mmの円形領域でのペブルの形状と分布を明らかにすることができた。ただし,実際のストーンが氷面に与える圧力よりも小さな圧力での実験となった点に課題が残る。(5) 氷上を滑るストーンによるペブルの形状変化の解明(柳敏*,亀田):氷上をストーンが通過することで,ペブル上端面は10 μm程度高さが減少することを明らかにすることができた。これは氷上を進むストーンの姿勢角を考える上での基本となる重要なデータである。(6) 低温室での実験用氷結路でのストーンの精密計測実験の実施(佐渡*,亀田):氷結実験路で得られたデータと角運動量保存の法則を用いて、ストーンの曲がるメカニズムの検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に実施した(1)から(6)の研究に加えて,2022年度以降は以下の(7)から(10)の研究を実施する予定である。 (7) これまでに実験を実施してきたアルゴグラフィックス北見カーリングホールに加えて、札幌または軽井沢にてカーリングの計測実験を実施し、異なるカーリングホールでのストーンの軌跡を解析し、カーリングホールによるストーンの軌跡が異なる原因を明らかにする。 (8) 氷上を滑るストーンおよびスウィープによる氷面での温度変化の検知(白川,亀田):当初は2021年度に実施予定であったが,発注したサーモグラフィーの納品が2022年2月になったため,2021年度の実験ではスウィーピングによる氷面の温度上昇を定量的に明らかにすることができなかった。そのため,2022年度に計測実験を実施し,ストーンの通過およびスウィーピングによる氷面の温度変化を明らかにする。 (9) 氷上を滑るストーンの軌跡の数値計算(亀田、佐渡):2021年度に測定した440投のストーンの軌跡データを用いて,ストーンの軌跡を方程式で表すことを試みる。その際に,ストーンの平均角速度ωまたはストーンの総回転数n(ωとnはストーンのリリースから停止1秒前までの値として定義),ストーンのランニングバンドの表面粗さλ,氷面のペブルの数密度aをパラメータとして含めることを試みる。 (10) (1)~(9)で得られた観測データおよび計算結果を用いた剛体としてのストーンの運動解析およびその科学的成果の応用(亀田,柳 等,原田,白川,佐渡*,柳敏*):これまで得られた計測データに基づき,氷上を進むストーンの特徴を明らかにして,それに基づき,ストーンを曲げるメカニズムを検討する。
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Research Products
(4 results)