2022 Fiscal Year Annual Research Report
筋力トレーニングに伴う中枢神経系および骨格筋の適応
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21H03335
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前大 純朗 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (60774586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金久 博昭 鹿屋体育大学, 学長, 学長 (50161188)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高密度筋電図 / 運動単位 / 動員数 / 皮下脂肪厚 / 筋横断面積 / 筋線維横断面積 / 伝導速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、力発揮中の中枢神経系の制御機構、とりわけ運動単位の振る舞いに関する研究を主に進めた。より具体的には、肘関節屈曲筋群のレジスタンストレーニングを長期的に(週2回・3年以上)実施している鍛錬者と運動習慣のない非鍛錬者を対象として、肘関節屈曲筋力発揮中の筋活動を高密度筋電図により測定した。また、高密度筋電図データから運動単位の動員数および発火頻度を定量し、主に以下の2つに関する知見を得た。
【高密度筋電図による運動単位の識別の数に影響を及ぼす解剖学的因子】筋電図の振幅値は、筋電図電極と筋の間に位置しフィルターとして働く皮下脂肪厚の影響を受ける。本研究において、皮下脂肪厚が小さい鍛錬者の方が皮下脂肪厚が大きい非鍛錬者よりも、高密度筋電図データから識別できた運動単位の数は有意に多かった。また、筋の横断面積も運動単位の識別数に影響を与え、これらの解剖学的因子の組み合わせにより、高密度筋電図により識別可能な運動単位の数を推定できることが明らかとなった。この結果は、Journal of Neural Engineeringに掲載されている(Oliveira, Maeo et al. 2022)。
【高密度筋電図による筋線維サイズの推定】筋線維の横断面積は、運動単位の伝導速度に影響を与える(大きいほど速い)。本研究では、高密度筋電図と筋バイオプシーのデータを用いて、運動単位伝導速度から筋線維の横断面積を66%の精度で推定できることを明らかにした。この結果は、Journal of Physiologyに掲載されている(Casolo, Maeo et al. 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、複数の研究成果を国際誌に掲載できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、筋力トレーニングに伴う中枢神経系および骨格筋の適応について、長期的なレジスタンストレーニングを実施している鍛錬者と運動習慣のない非鍛錬者を比較することにより、以下の横断研究を進める。
【素早い力発揮中の運動単位の振る舞い】肘関節屈曲筋群および膝関節伸展筋群のトレーニングを実施している鍛錬者と非鍛錬者を対象に、等尺性肘関節屈曲および膝関節伸展について、最大努力での素早い力発揮の筋活動を高密度筋電図により測定する。高密度筋電図データから運動単位の発火頻度を算出し、鍛錬者と非鍛錬者間で比較する。
【骨格筋の構造特性】肘関節屈曲筋群のトレーニングを実施している鍛錬者と非鍛錬者を対象として、MRI法とバイオプシー法を用いて、骨格筋の構造特性を測定する。より具体的には、上腕二頭筋の全筋レベルの筋横断面積、筋線維の横断面積と数、筋原線維の横断面積と数、ミオシンフィラメント間の距離を測定し、鍛錬者と非鍛錬者間で比較する。
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Research Products
(6 results)