2022 Fiscal Year Annual Research Report
多様なネットワーク環境と変動に適応するAI×人の共創による環境適応技術の研究
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21H03430
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
妙中 雄三 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (50587839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門林 雄基 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00294158)
塚本 和也 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (20452823)
池永 全志 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (50284716)
山本 寛 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (80451201)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 通信制御 / アプリケーション制御 / 機械学習 / トランスポート |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アプリケーション要求とネットワーク環境の両方を意識した通信制御技術及びネットワーク環境を意識したアプリケーション適応技術の検討をおこなった。通信制御技術では、アプリケーションの通信フロー毎に異なる、ネットワークに対する要求を満足するために、ネットワーク及び、ネットワークに埋め込まれた計算資源を活用した効率・公平な資源割当と通信経路選択を知性的に解く手法を提案した。この手法の有効性は数値実験を通じて検証するとともに、小規模な実機実装による有効性を示した。また、トランスポート制御に着目し、アプリケーション要求とネットワーク内部でのパケット損失率・遅延・帯域等の情報に基づいたトラヒック制御手法について検討し、実験環境を構築して性能評価を行った。また、個人情報を含むデータ収集を行うアプリケーションを想定して、トランスポートレベルでデータ特性のみを抽出する手法を提案・評価した。さらに、従来のトランスポート制御には無い制御方法の検討に加え、機械学習によって多様な制御方法を適応的に変化させる技術の初期検討を行なった。一方、アプリケーションの環境適応技術では、第一次産業の支援のような具体的なアプリケーションを対象として、その要件を満たす範囲内でネットワークの通信状態に応じてデータの解析手法/入出力を動的に切り替える機能を備えたシステムを設計・試作した。特に、複数のサーバ/エッジ上へのアプリケーション(コンテナ)の配備と、ネットワークの状態監視を一元的に行えるオーケストレータを活用した構成を採用しており、アプリケーション/ネットワークの状態に応じて適応的に処理/通信の制御が可能となるAIが整備できる基盤部分を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アプリケーション要求とネットワーク環境の両方を意識した通信制御技術の研究では、国内研究会及び国際会議で成果を対外発表している。またこの成果が電子情報通信学会の2022年ネットワークシステム研究賞を受賞した。アプリケーション環境適応技術の研究では、複数のサーバ/エッジ上へのアプリケーション(コンテナ)の配備と、ネットワークの状態監視を一元的に行えるオーケストレータを活用したプラットフォームを実際に設計・試作した。さらにプラットフォーム上に具体的なアプリケーションを実装し、アプリケーション/ネットワークの状態に応じて適応的に処理/通信の制御が可能となることを確認している。研究成果も国際会議で発表している。このように各研究者がそれぞれの担当テーマの検討を進め、研究成果も着実に対外発表していることから現在までの進捗状況としては良好と考える。また、定期的に意見交換会を開催し、進捗の共有並びに研究内容についての議論を深めており、今後も着実な研究遂行が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではフローレベルの通信制御を行なっていたのに対し、今後はパケットレベルでの通信制御の導入を検討する。パケットレベルにすることで、エンド端末ごとのフロー制御に加え、ルータや無線ALといったネットワークの途中経路上で、複数フロー間の状況を意識しながら、フローごとにパケット単位のきめ細やかな通信制御を行う、ネットワーク主導によるトランスポート層の環境適応の実現を検討する。また、エンド端末の通信制御では、アプリケーションの機能独立は維持しながらも、トランスポート層で得られる情報や機能を活用することで一体的に最適化する手法を検討する。アプリケーション環境適応技術では、アプリケーション/ネットワークの状態を観測し、処理/通信の制御を適用する機能に対して、それらが連携するAIを設計・試作し、状態に応じて適応的に制御を適用できるプラットフォームを検討する。また、プラットフォーム上に具体的なアプリケーションを実装し、AIによる制御の有効性を確認するための実証実験を目指す。
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