2023 Fiscal Year Annual Research Report
3次元電磁波動散乱問題に対する時間領域境界要素法の高速アルゴリズムの開発
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21H03454
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 徹 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90360578)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電磁波動散乱問題 / 境界要素法 / 高速アルゴリズム / 時間領域 / 形状最適化問題 / 形状微分 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究目的は、本研究課題が研究対象とする3次元非定常電磁波動散乱問題に関する形状最適化を、境界要素法(BEM)を活用して実現することである。その形状最適化の方針は随伴変数法に基づき目的関数の勾配すなわち形状微分を用いることである。その形状微分は、本研究の場合(=自由空間に配置された完全導体を散乱体とする場合)よりも一般的な場合に対してCagnolらによって既に誘導されている。しかし、その形状微分を完全導体の場合に単純に書き下した表現は、BEMとの親和性が低いことが判明し、この問題をまず解決した。すなわち、形状微分をBEMによって直接扱う境界量である表面電流を用いた表現に改めることに成功した。その新しい表現は表面電流の表面発散を含むが、本研究において構築したBEMでも利用し、事実上の標準となっているRWG空間基底において表面発散を取ることは容易である。第二の問題は随伴問題に対するBEMを構築することである。基本的には、2022年度に先行的に検討したスカラー波動問題の場合と同様であるが、電磁散乱問題そのものが複雑であることから、その随伴問題に対するBEMは精緻な定式化を要する。結果、当該の随伴問題に対する電磁場の積分表現および積分方程式を誘導することができた。特に、主問題の入射電磁場に相当する項の誘導は自明ではない。さらに、本研究は電場および磁場積分方程式の時間微分を用いるため、それらの項の時間微分も陽に求めた。一方で、結果として主問題の電磁場の二階時間微分が必要となることがわかった。これが原因となって、前年度に開発に成功した高速BEMは計算精度を十分に担保することが難しく、従来アルゴリズムに従うBEMによって、当該の形状最適化を実現することとした。数値解析において良好な結果を得ることができ、その成果は査読付き国際学術雑誌に2024年4月22日に受理された。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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