2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of massively parallel DMRG argorithm for quantum many-body systems and its applications
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21H03455
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
曽田 繁利 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 技師 (60466414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松枝 宏明 東北大学, 工学研究科, 教授 (20396518)
遠山 貴巳 東京理科大学, 理学部第一部応用物理学科, 教授 (70237056)
柚木 清司 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70532141)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 計算物理 / 大規模計算 / 量子ダイナミクス / 量子情報 / 手法開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の本研究としては、まず、スーパーコンピュータ「富岳」を効率的に利用するための大規模並列密度行列繰り込み群(DMRG)法の研究開発に取り組んだ。本研究開発では、本研究グループがこれまでに開発した大規模並列DMRG法プログラムを基礎として取り組んでいる。当該年度の研究開発としては、系の対称性を利用することで効率的な大規模並列計算を可能にする並列化手法の開発に取り組んだ。DMRG法で最も計算量を要する部分は、基底状態や励起状態の計算に現れるハミルトニアンとベクトルの積である。特異値分解に対応するDMRG法の最適化プロセスにおいて系はふたつに分割される。そのため、系全体のハミルトニアンは、二つに分割された部分系のハミルトニアンのクロネッカー積で与えることが可能となる。その結果、上述のハミルトニアンとベクトルの積は、部分系のハミルトニアンと元のベクトルの要素からなる行列の積となる。さらに、部分系のハミルトニアンに系の対称性を考慮して整理すると、部分系のハミルトニアンをブロック対角化することが可能となる。この各ブロックはDMRG法の最適化の結果、要素が密となるため、結果として密行列の行列・行列積を行うこととなり、高効率の演算が可能となる。また、ここでの計算ではブロック間の通信が必要となるが、これは1対1通信で可能となるため、比較的効率的な並列計算が可能となった。これまでに開発された大規模並列DMRG法プログラムにこの並列計算のアルゴリズムを実装することにより、「富岳」において高い並列化性能を持つDMRG法の大規模計算が可能となった。開発された大規模並列DMRG法プログラムは、量子格子模型のダイナミクス計算や、量子多体状態の解析、またゲート式量子コンピュータ上での実行を目指した量子アルゴリズムの検証に利用され、その研究成果を論文や学会で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の本研究の実施は、当初の予定通り順調に進んでおり、その研究成果も論文や学会で報告している。また、本研究では次世代の本分野での大規模計算を担う人材の育成も課題のひとつとしているが、本課題で雇用する研究員の着任に遅れが生じた。研究自体は順調に進捗していることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は順調に進展しており、今後も当初の計画通り推進していく方針である。また、研究員の着任が遅れたために生じている人材育成については、計画を後ろ倒しして進める方針である。
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