2022 Fiscal Year Annual Research Report
経皮電気刺激による漿液分泌制御インタフェースの構築とその応用
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21H03477
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
青山 一真 群馬大学, 情報学部, 准教授 (60783686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 智浩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70396175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / 神経刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究では,鼻腔内の分泌を促進する刺激と涙液の分泌を促進する刺激の設計について検討した.鼻腔内の分泌は,鼻腺と呼ばれる,涙腺や大唾液腺と比較して小さな組織から分泌される.分泌機能の多くは感覚入力によっても調整される.つまり,分泌に伴う感覚の変化,感覚に伴う分泌が変化の両者があると知られている.このことから,分泌を制御・誘導するためには効果器への刺激のみが有効であるわけではなく,感覚との相互作用も積極的に利用すべきである.鼻腔において生じる感覚である鼻腔内化学感覚は,嗅覚と三叉神経入力の両者によって成立するが,このうち三叉神経入力には側方性があるとされており,鼻腔内での感覚の定位が可能であるとされている.つまり,空間的な感覚の分布を形成する刺激は空間的ひいては局所的な分泌の制御を可能とする新技術の創出に寄与する知見が得られる可能性がある.この関係性を検証するためには,感覚を空間的に分布させる刺激の設計が必要であるため,本年度は鼻腔内三叉神経への刺激によってもたらされると考えられる鼻腔内化学感覚の側方化について,鼻梁周辺への多電極経皮電気刺激がもたらす感覚の定位ひいては,その感覚定位を用いた嗅覚の側方化の可能性を検証し,左・中央・右と3方向の鼻腔内化学感覚の定位が可能な刺激を構築した. また,涙の分泌を促進する刺激についてはユーザスタディを実施することはできなかったものの,刺激手法を設計しシミュレーションによってその有効性について検証することができた.また,研究者自身がパイロットスタディとして自身を対象に実施したテストでは,刺激強度にもよるが20秒程度の刺激適用時間で,涙の分泌が目視で確認できる程度の刺激を構築できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行状態と小康状態が繰り返されており,ユーザスタディやデモ展示を予定通りに実施することが困難であったため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,ユーザスタディによる刺激の基礎設計を主たる研究手法として検討していた.一方で,有限要素法などのコンピュータシミュレーションによって,ユーザスダディでは検討しきれない様々な要因を検討しつつ刺激を設計することができるものと考えられる.本研究では,今後有限要素法によるシミュレーションも取り入れ,ユーザスタディのみに頼らない研究推進を予定している.
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