2022 Fiscal Year Annual Research Report
Pseudo-haptics実用化に向けた効果の不安定要因解明と安定化制御法開発
Project/Area Number |
21H03478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伴 祐樹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任講師 (20789391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
割澤 伸一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20262321)
宇治土公 雄介 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 研究員 (30898474)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Pseudo-haptics / クロスモーダル / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,Pseudo-haptics効果の不安定要因だと考えられている個人差・提示時間が錯覚効果量に与える影響を解明し,それをもとにPseudo-haptics効果 を制御可能にする手法を構築することにある.Pseudo-hapticsは物理的触覚提示デバイスを用いなくとも擬似的な触力覚を提示可能な現象として着目されている 一方で,その効果が提示対象者や提示時間に依存し,安定しないという問題を抱えている.そこで本研究では,Pseudo-hapticsを安定した触覚提示技術として確 立するため,オンライン実験プラットフォームを構築して多様な特性の体験者に対するPseudo-haptics効果を大規模に収集し,収集データを用いて個々人の特性 が効果量に与える影響や長期間Pseudo-haptics刺激を提示することによる馴化の影響を明らかにする.さらに,体験者の特性の違いや提示時間によって生じる錯覚効果量のばらつき・低減を防ぐ手法を構築し,その適用限界・有効性を明らかにする. 計画二年目にあたる2022年度では,昨年度構築したオンライン実験プラットフォームを用いた実験を行い,400人超の実験参加者を対象に,視覚的・触覚的定位能力や,マウス操作に対しての慣れがPseudo-haptics錯覚効果にどのように影響するかについて検証を行なった.実験で収集したデータを解析した結果,触覚的定位能力が高く,マウス操作に慣れている人ほどPseudo-hapticsの効果を強く感じやすいことが示唆された. 加えて,Pseudo-hapticsの効果を増強するために,バーチャル物体の見た目とPseudo-hapticsの効果との関係の検証や,牽引力錯覚とPseudo-hapticsの組み合わせ,聴触覚クロスモーダル効果における音像定位の影響の検証を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,初年度に構築したオンライン実験プラットフォームを用いた実験を行い,400人超の実験参加者を対象に,視覚的・触覚的定位能力や,マウス操作に対しての慣れがPseudo-haptics錯覚効果にどのように影響するかについて検証を行なった.実験で収集したデータを解析した結果,触覚的定位能力が高く,マウス操作に慣れている人ほどPseudo-hapticsの効果を強く感じやすいことが示唆された. 加えて,Pseudo-hapticsの効果を感じにくい人に対しても錯覚効果を生起させる方法として,重さ感を提示するPseudo-hapticsの視覚効果を付与するバーチャル物体の見た目を,重量感をイメージしやすいテクスチャにする手法を提案し,検証を進めた.これは,物体の見た目たから重さの手がかりをユーザに与えることで,Pseudo-hapticsの視覚効果に対する解釈を補助する効果を狙ったものである.予備実験の結果を国内学会で発表し,次年度にかけて本実験を実施している. 加えて,Pseudo-hapticsの効果を増強するために,牽引力錯覚とPseudo-hapticsの組み合わせ,聴触覚クロスモーダル効果における音像定位の影響の検証を進めた. また,Pseudo-hapticsのようなクロスモーダル刺激を安定した触覚提示技術として確立するためには,簡単に提示刺激を生成できるようにする必要がある.そのため,テクスチャ画像を入力するだけでそれに対応した触覚刺激を出力するモデルの構築に取り組んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,重さや抵抗感等異なる触力覚プロパティの間で,Pseudo-hapticsの効果が個人内でどのように異なるのかを明らかにし,提示するC/D比等のPseudo-haptics設定値に対しての効果量のばらつきをモデル化する. 加えてPseudo-hapticsの提示時間が錯覚効果量に与える影響を明らかにするとともに,2022年度から取り組んでいるPseudo-hapticsの効果を増強する手法の確立をめざす.
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