2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical model development of emotion dimensions based on variation of uncertainty and its application to inverse problems
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21H03528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 秀吉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20396782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 一貴 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10403594)
加藤 健郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70580091)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感情 / 自由エネルギー / ベイズ / 予測誤差 / 覚醒ポテンシャル / 音楽 / fMRI / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に定式化した自由エネルギーFを用いた感情次元モデルを基礎として、音楽の様に時系列で観測する刺激を得る場合の動的な感情を説明するモデルへと拡張した。時刻t時点で観測を得た後に減少するFであるKL-divergence(KLD)と、時刻tに対してt-1時点におけるF減少量の期待値(predicted KLD; pKLD)との差が情報処理の流暢性を表し、快の感情(pleasure)をすとの仮説を、実験美学における流暢性理論との対応から提案した。先行研究で得られている音楽の和音進行に対するpleasureの統計学習モデルと、本研究で提案する流暢性モデルとの結果を比較したところ、pleasureに対して有意な相関を確認した。これにより、データによる学習モデルによらず、和音列に対する快感情を情報量から予測できることを示した。 一方、認識や視点の切り替えによるAha体験を、ベイズモデルの事前分布の切り替えによるF減少量(KLD)としてモデル化し、F減少量の大きさが面白さ(interest)といった快感情を表すと考えた。そして、モデルパラメータがF減少量に与える影響を網羅的に明らかにした。これを検証するために、視覚刺激を用いたfMRIによるモデル予測の妥当性実験のパラダイムを構築した。カードマジックの映像を視覚刺激として、マジックの種を明かす際の感情反応を主観報告と脳計測する予備実験を行った。実験では、種のヒントの有無で予測誤差を操作し、Fの減少量との対応を評価した。結果から、モデル予測を支持する傾向が得られた。 感情モデルの逆問題応用として、自動車形状の生成システムの開発と検証を行った。具体的には、自動車の現行モデルを基本形状とし、同形状との差をガウス曲率の生起確率および遷移確率を用いたKL情報量と美的好みの官能評価値がヴント曲線となることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初は、静的な観測を得た際の感情次元モデルの提案であったが、本年度は、これを動的な刺激に対する感情のモデルへと拡張した。これにより、音楽を用いた検証実験から、その妥当性の一部を確認した。fMRIを用いたモデル検証の実験パラダイムと予備実験による妥当性の確認、および逆問題としての形状生成システムの開発については、予定通りに進んでいる。これらの成果は、ジャーナル論文および学会への発表を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
カードマジック課題を用いたfMRI計測による感情モデルの妥当性実験を、実験参加者数を増やして実施し、モデル予測の統計的な有意性を検証する。また、開発した感情化モデルに基づく自動車形状の生成システムの有効性検証を行うとともに,同モデルをその他の形状デザインシステムに応用することを予定している. 研究成果をまとめ、ジャーナル論文、および国内外の学会にて発表する。
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Research Products
(18 results)