2022 Fiscal Year Annual Research Report
環境変化に順応するネイチャー・レジリエント・ネットワーク型生け簀ロボットの研究
Project/Area Number |
21H03558
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小林 透 長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (90637399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 哲郎 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (10436173)
荒井 研一 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (60645290)
征矢野 清 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (80260735)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生け簀ロボット / IoT / センサプラットホーム |
Outline of Annual Research Achievements |
(課題2)センサからの情報を基にしたインテリジェントな給餌方式に関して、Optical Flowを当研究室が開発したマルチセンサプラットフォームで撮影した生け簀内の魚群に適用した。餌を生け簀に投入すると、それまでは、水平方向にゆっくり回遊していた魚群が、一斉に上方向に動きを活発化させる。その時のそれぞれの魚の動きをベクトルとして定量化する。具体的な定量化の対象は、ベクトルの大きさと角度であり、これをベクトル量と呼ぶ。本ベクトル量を学習させることで、魚群活性度AIを構築した。魚群活性度AIでは、魚が空腹の時は、餌への反応が早い(移動量大、しかも上方向)、満腹時は、反応が遅い(移動量小、しかも水平方向)という仮説に基づいている。 魚群活性度AIを評価するために、長崎県総合水産試験場内にある実験生け簀の一部を借用し、評価実験を行った。評価実験においては、給餌中の魚群の活性度を下記の2つの状態に分類した。 ①高活性:餌が水面に着水した瞬間、勢いよく食いつき、上下の動きが激しい状態 ②低活性:給餌しても魚群の反応が低い状態 高活性と低活性の区別は、水産試験場のベテラン給餌担当者の判断に基づき分類した。それぞれの状態の時の映像情報からOptical Flowにより算出した魚群のベクトル量を、Support Vector Machineという機械学習にかけることにより学習モデルを作成した。評価実験により作成した学習モデルに、学習する際に用いなかった魚群のベクトル量を入力し、魚群の活性度を正しく判定できるかどうかの検証を行った。その結果、94%の精度で、魚群の活性度を正しく判定できることが確かめられた。この結果から、Optical Flowによる魚群活性度の定量化手法に基づく、魚群活性度AIの有効性が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(課題2)センサからの情報を基にしたインテリジェントな給餌方式に関して、映像情報からOptical Flowにより算出した魚群のベクトル量を、Support Vector Machineという機械学習にかけることにより学習モデルを作成し、評価実験により作成した学習モデルに、学習する際に用いなかった魚群のベクトル量を入力し、魚群の活性度を正しく判定できるかどうかの検証を行ったこと。その結果、94%の精度で、魚群の活性度を正しく判定できることが確かめられた。また、給餌装置として、農業用大型ドローンを活用し、肥料散布用のアタッチメントを改造することで、生け簀上空から餌の散布が可能な空中給餌装置を開発した。ドローンに着目した理由は、餌の運搬にも活用できるため、大きな省力化効果が見込めるためである。以上のことから、おおむね順調に進展していると評価する。 マルチセンサプラットフォームに関する論文が査読付き論文として公表された。また、魚群活性度AIに関する成果を、3件の研究会発表、1件の国際会議で発表した。また、これまでの成果を網羅した書籍「スマート養殖技術」を発刊した。
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Strategy for Future Research Activity |
(課題2)センサからの情報を基にしたインテリジェントな給餌方式に関して、魚群の活性度を正しく判定できるAIについては、目途が立ったため、今後は、空中給餌装置との連動部分に着手する。具体的には、フォグ化した生け簀において、撮影した映像から画像処理を施し、Optical Flowによる魚の活動量の定量化、およびSVMによる活性度判定をリアルタイムに実施できるようにする。その後、2022年度試作した農業用大型ドローンを空中給餌装置とみなして、生け簀のフォグ側とのリアルタイム通信を可能とする。これにより、フォグ側からの指令に基づき、空中給餌装置から餌の自動投入を可能とし、人手を全く介さない自律的な自動給餌を実現する。 (課題3)通信障害が生じても自律的に給餌制御が可能な分散処理方式に関しては、ドローンを活用した非同期通信方式を確立する。これは、餌を運搬し自動給餌を行う仕組みとして、ドローンを活用することに着目したためである。フォグとドローンの連携により、クラウドに頼らない自律的な自動給餌が可能となっているため、必ずしもフォグとクラウド間の定常的な通信の確保は必要でない。そこで、フォグとクラウド間での5Gによる通信が不可の場合は、ドローンに搭載された記憶媒体を活用して、非同期でフォグとクラウド間の通信を確保する。具体的には、フォグからクラウドへセンサ情報を転送し、クラウド側でアップデータした学習モデルを、クラウドからフォグへ転送する仕組みを開発する。
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Research Products
(8 results)