2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of species specific elemental quota using new trace element analysis methods for individual microalgal cell
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21H03585
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板井 啓明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60554467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
高橋 嘉夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10304396)
砂村 倫成 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90360867)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 藻類 / μXRF / シングルセル分析 / 淡水 / 微量元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、微細藻類の個体別微量元素分析法の開発を目的に、研究を実施してきた。これまでに、(i)μXRFを用いた個体別微量元素濃度/化学形態分析法の開発、(ii) 様々な湖沼の微細藻類化学組成解析とデータベース化について、実績が得られている。(i)に関しては、高エネルギー加速器研究機構, フォトンファクトリーBL4A, BL15AおよびSPring-8BL37XUにおいて分析条件の最適化を実施した。生物組織認証物質のXRFスペクトルを、pyMCAを用いて解析し、Fe, Mn, Cu, Znなどの生体必須微量元素について、妥当な濃度が得られることを確認した。3箇所の富栄養型湖沼で採取した珪藻類の分析から、個体中Fe, Zn, Cu濃度が、細胞密度に反比例して減少する傾向を確認することができた。また、BL15Aでは、当技術とμXAFS法を併用し、微小生物の表面に付着した鉱物粒子の洗浄法について、同一個体の元素分布を洗浄前後で比較する研究を実施し、最適な固定法や洗浄法に関して知見を得た。これらの研究成果については、日本地球惑星科学合同大会での招待講演、国際メタロミクスシンポジウムでの講演などで公表し、原著論文を作成している。 複数湖沼の調査については、山梨県(山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)、長野県(青木湖・中綱湖・木崎湖・野尻湖)、福島県(桧原湖・小野川湖)の計11湖沼について、季節別の調査を完遂し、水質データ、環境DNAデータに基づき、その多様性評価が進んでおり、藻類データの分析は今年度末まで継続予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、(i)μXRFを用いた個体別微量元素濃度/化学形態分析法の開発、(ii) 様々な湖沼の微細藻類化学組成解析とデータベース化について、は順調な成果が得られている。一方で、(iii)シングルセルICP-MSの技術開発については、まだ実試料分析が可能な段階に達していないため、最終年度に重点的に取り組む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、前年度までに各地の湖沼から採取した微細藻類の分析を継続し、データベース化を推進し、藻類の種別微量元素要求量や水質との関連性をとりまとめる。また、シングルセルICP-MSの分析法最適化を進め、手法の有効性や限界を評価する。
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