2021 Fiscal Year Annual Research Report
A New paradigm of nitrogen cycle in the marine subsurface layer controlled by trace metals
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21H03592
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
武田 重信 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (20334328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 拓平 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (90569849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋生態 / 窒素循環 / 微量金属 / 植物プランクトン / 硝化微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外洋の亜表層における微量金属元素および栄養塩分布の高分解能測定とプランクトン群集の窒素代謝に関する船上培養実験に取り組み、微量栄養素である鉄、銅、亜鉛の動態と光環境が、植物プランクトンからの亜硝酸塩の細胞外放出や、微生物群集による硝化作用に複合的な影響を及ぼし、亜硝酸塩極大層の形成を始めとする亜表層の窒素循環を制御しているとの仮説を検証することを目指している。 今年度は、亜硝酸塩極大層付近の栄養塩・微量金属濃度分布と植物プランクトン・硝化微生物群集の対応関係を解析するため、長崎大学水産学部附属練習船「長崎丸」による黒潮周辺海域の調査航海に参加して、亜硝酸塩極大層付近の6層から、微量金属の汚染を受けないクリーン採水により海水試料を採取した。亜硝酸塩極大層は深度105mに出現し、亜表層クロロフィル極大より約10m深いものの比較的クロロフィル濃度の高い層に相当しており、表層で枯渇していた硝酸塩濃度が増加し始める深度とほぼ一致していた。このことから硝酸塩を取り込んだ植物プランクトンから亜硝酸塩が細胞外に放出されている可能性が示唆された。 また比較のため、溶存有機態窒素として窒素循環に関与する尿素を対象に、北極海の陸棚域と海盆域における尿素のシンクについて調査を実施した。尿素濃度は、陸棚域では海底付近で高くなる傾向がみられる一方、海盆域では水柱内ではほとんど検出されないことを見出した。尿素の取り込み速度は有光層上部で高く、下部で低くなったのに対して、尿素酸化は有光層上部で低く、下部で高くなった。これらの結果は、尿素シンクが2層のシステムによって成り立っていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黒潮周辺海域や北極海の調査研究を予定通り実施し、亜硝酸塩極大層付近における生物・化学的な鉛直構造の基本特性を明らかにするための研究試料と現場環境データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
西部北太平洋の亜熱帯・亜寒帯域における現場観測データを得るため、2022年6~8月に予定されている学術研究船「白鳳丸」航海に参加し、亜硝酸塩極大層を中心とする鉛直的な高分解能採水を行って、北太平洋の亜熱帯域と亜寒帯域における亜硝酸塩極大層付近における生物・化学的な鉛直構造の特性の違いについて検討を進める。
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