2022 Fiscal Year Annual Research Report
A New paradigm of nitrogen cycle in the marine subsurface layer controlled by trace metals
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21H03592
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
武田 重信 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (20334328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 拓平 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (90569849)
近藤 能子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (40722492)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋生態 / 窒素循環 / 微量金属 / 植物プランクトン / 硝化微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外洋の亜表層において微量栄養素である鉄、銅、亜鉛の動態と光環境が、植物プランクトンからの亜硝酸塩の細胞外放出や、微生物群集による硝化作用に複合的な影響を及ぼし、亜硝酸塩極大層の形成を始めとする亜表層の窒素循環を制御しているとの仮説を検証することを目指している。 今年度は、令和4年7-8月に実施された学術研究船「白鳳丸」KH-22-7次研究航海において、西部北太平洋の東経155度北緯20度および30度と、東経150度北緯41度の3つの定点において観測を行った。船体などからの微量金属による汚染を受けないクリーン採水システムを用いて、亜表層栄養塩躍層付近での高分解能採水を実施し、微量金属元素、栄養塩、微生物群集の遺伝子解析用試料を採取した。これら3測点における亜硝酸塩極大層は、深度41mから135mに認められ、緯度が高くなるにつれて浅くなる傾向を示すとともに、北緯41度の亜硝酸塩極大の濃度は北緯20度と比べて4倍程度高くなっていた。これらの亜硝酸塩極大層の位置は、亜表層クロロフィル極大層よりも15-20mほど深くなっていたことから、微生物群集による硝化過程が亜硝酸塩の蓄積に寄与していることが示唆された。 また、アンモニア酸化生物の多様性を網羅的に調べる手法の開発に取り組み、ターゲットキャプチャー法によって、ライブラリからamoA遺伝子の濃縮を行った。本手法において多数のプローブを用いたことによって、プライマーバイアスに寄らない多様なamoA遺伝子を得ることが可能となった。 これらの結果と水温、塩分、クロロフィル、光量などの現場環境データを基に、北太平洋の亜熱帯域と亜寒帯域における亜硝酸塩極大層付近における生物・化学的な鉛直構造の特性について検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
7~8月に学術研究船「白鳳丸」KH-22-7次研究航海に乗船し、西部北太平洋の亜熱帯から亜寒帯域の3つの定点において、ほぼ計画通りに亜硝酸塩極大層付近における現場環境データと海水・生物試料を採取することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
西部北太平洋の亜熱帯・亜寒帯域において採取したサンプルの分析とデータ解析を完了させ、3ヵ年で得られた結果を総合的に解釈して、研究目的において設定した仮説を検証する。また、各海域の栄養塩・微量金属元素濃度や光量の鉛直分布に関する本研究および既存のデータを用いて、有光層内での硝化の寄与を見積り、新生産の再評価を行う。
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[Presentation] 主要な窒素消費者としての窒素固定性シアノバクテリア2022
Author(s)
増田貴子, 井之村啓介, 児玉武稔, 塩崎拓平, 北島聡, Gabrielle Armin, 松井貴人, 鈴木光次, 武田重信, 佐藤光秀, Ondrej Prasil, 古谷研
Organizer
日本海洋学会2022年度秋季大会