2021 Fiscal Year Annual Research Report
酸性極限環境におけるバイオフィルム樹状構造化の謎とその金属元素循環への影響の解明
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21H03595
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
稲葉 知大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90760439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 由也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80711291)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では微生物細胞が群集構造体(バイオフィルム)を形成する分子機構を明らかにし、形成されたバイオフィルムの立体構造の詳細とその機能を解析することで、元素循環を介した地球環境と微生物群集生態の相互作用を明らかにすることを最終的な目的としている。研究対象として、休廃止鉱山内に見られる、高度に発達した樹上構造を持つバイオフィルムを選定し、本年は国内鉱山におけるバイオフィルムの現地調査を実施した。既に廃止されているが、鉱山内から一定量の鉱廃水が排出される鉱山の行動を調査し、バイオフィルムサンプルを複数得ることができた。また周辺の環境プロファイルを得るため、バイオフィルム周辺の土や水を採取することができた。得られたバイオフィルムサンプルについて、目視により判別可能なマクロ構造ごとに分類を行い、複雑な樹状に発達したバイオフィルムであることが確認できた。このバイオフィルムサンプルについて簡易的な可視化解析を実施し、細胞以外の成分を多く含む構成成分的にも複雑な構造体である可能性が強く示唆された。次年度以降はこの採取されたバイオフィルムについて、さらに詳細な光学的解析として、複数の蛍光プローブを用いた成分局在解析等を実施していく。また分子生物学的な解析としてマイクロバイオーム、トランスクリプトーム解析等を実施し、バイオフィルムの構造と機能について、その形成機構や生理学的意義を明らかにすることをめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の休廃止鉱山について、管理者の許諾をとり、坑道内に存在するバイオフィルムおよび周辺のサンプルを取得することができた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止にかかる措置によりサンプリングならびに研究機関における研究業務に遅れがあるが、バイオフィルムサンプルは一部確保されており、次年度以降予定する光学的、分子生物学的な解析の実施は問題なく行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
採取されたバイオフィルムサンプルについて、当初の予定通り、非破壊的な可視化解析やオミックス解析を実施していく。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止にかかる移動自粛やテレワークの実施推進等により、休廃止鉱山へのサンプリングが難しくなる可能性があるが、その場合は既に採取済みのサンプルをさらに詳細に解析していく。
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