2021 Fiscal Year Annual Research Report
Thermal Remediation of Highly Concentrated Chlorinated Organic Compounds Infiltrated into Clay Soil and Intrinsic Safety Management
Project/Area Number |
21H03630
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 剛 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (60293172)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土壌浄化技術 / 高濃度有機塩素化合物 / 粘性土壌への浸潤 / 加温浄化 / 本質安全管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
揮発性有機塩素化合物は脱脂洗浄などに多量に用いられ、漏洩や廃液投棄等による土壌汚染が多数顕在化している。多くの小規模事業所では汚染調査もされておらず、高濃度汚染が多く潜在することが懸念される。また放置すると更に粘性土奧部まで浸潤してより浄化困難となる可能性がある。そのため、粘性土に着目した汚染の評価技術、効率的浄化技術が求められる。 本研究では、揮発性有機塩素化合物の粘性土への浸潤の経時変化を測定・解析する。また、粘性土からの効率的な浄化技術の開発のために、高温加熱等の粘性土中からの溶出促進効果を測定・解析する。更に実汚染現場への加温・熱対流浄化技術の適用を検討し、汚染が拡散せずリバウンド問題もない「本質安全な浄化終了判定手法」を検討する。 ①液状揮発性有機塩素化合物存在時の粘性土への浸潤挙動の測定・解析について、2021年度は、粘性土壌への高濃度VOC水溶液がどの程度の速度で浸潤するのか測定方法の検討とともに、一方向拡散の予測計算シートを作成し、汚染を放置した場合にどの程度、汚染の浸潤が進行するのか計算できるようにした。 ②粘性土からの定温時・熱対流発生時の溶出促進効果の測定・解析については、15℃~80℃程度に加熱時の溶出挙動を明らかにするため、2021年度は、実験装置を作成、解析手法の検討とともに実験開始した。80℃の加温で、600時間後の残存率が15℃の時と比べると1/5~1/10以下と大きく溶出促進できた。また、PCEやTCEと比べて、DCEやVCでは浄化が早いことが確認できた。 さらに、粘性土中の熱対流による溶出促進効果を明らかにするため、熱対流など、溶出促進効果を確認する予備実験を行った。2021年度は、現時点では粘性土では明確な熱対流による溶出促進は確認できていない。実験装置の改良とともに、他の溶出促進方法についての調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①液状揮発性有機塩素化合物存在時の粘性土への浸潤挙動の測定・解析については、2021年度は、実験方法や解析方法について検討ができ、実験についてはやや遅れたが、解析方法についてはほぼ完成しており、予定どおり今年度中に結論付けられると考えている。 ②粘性土からの定温時・熱対流発生時の溶出促進効果の測定・解析については、2021年度は、低温加熱の実験装置を作成、解析手法の検討とともに実験開始した。また、熱対流時の溶出促進実験等の予備試験も実施し、2回の装置の改良を行ってきており、2年目に各手法の再検討や可能性の確認の実施と、3年目に浄化効果の測定と解析等を実施できる見込みである。熱対流による浄化促進効果は大きくない可能性もあるが、想定範囲内であり、その場合は他の手法と加温とを組み合わせた技術を検討する。 更に、③実証サイトでの検討として、現在は加温していない状態での浄化効果を測定・把握している状況であるが、今年度から加温による浄化促進効果を確認するための準備を進めている。 以上により、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「①液状揮発性有機塩素化合物存在時の粘性土への浸潤挙動の測定・解析(2021~2022年度)」に関しては、前年度に検討した実験条件により、液状汚染物質の放置により、粘性土にどの程度浸潤して浄化困難になるか測定する実験を行う。高濃度VOC水溶液(原液(PCE、TCE、DCE))がどの程度の速度で浸潤するのか解析して粘性土壌中の拡散係数を得る。また、一方向拡散の予測計算シート(拡散、吸脱着挙動を考慮)を完成させ、汚染を放置した場合にどの程度、浸潤が進行するのか予測計算を試みる。 「②粘性土からの定温時・熱対流発生時の溶出促進効果の測定・解析(2021~2023年度)」については、まず15℃~80℃程度まで加熱した場合の粘性土からの溶出挙動の測定実験を継続する。具体的には、汚染粘性土壌からの4種の有機塩素化合物(PCE、TCE、DCE、VC)の溶出挙動を、温度を変えて測定する。各粘性土壌の粒径分布や間隙率、吸着性(有機炭素含有率、比表面積)等の測定結果も用いて、得られた拡散係数との関係を解析する。2022年度は、実験により得られた拡散係数を用いて、解析手法について検討・予測計算を試みる。 さらに、粘性土中に拡散以外の熱対流による溶出(物質移動)促進効果を明らかにするための研究を進める。具体的には、これまで加熱による拡散・脱離促進による溶出促進は確認できているが、温度差による熱対流による溶出促進効果確認のための予備実験では、粘性土においては土壌粒子間隙が狭く溶出促進を示す明確な実験結果が得られていない。赤外線カメラによる温度分布の確認や加熱・冷却部を設けて温度分布を一定に保つよう実験装置を改良し、さらなる実験により溶出促進効果を確認する実験を行う。また、2022年度は、エタノール注入など、他の各種溶出促進手法の可能性を探るための実験を行うとともに、更なる溶出促進方法の検討も行う。
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Research Products
(1 results)