2022 Fiscal Year Annual Research Report
人工代謝系構築による微生物ポリエステルの生合成法開発と材料物性評価
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21H03640
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柘植 丈治 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (70332260)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリヒドロキシアルカン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物が合成するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、海中でも分解される生分解性プラスチックとして、その利用に注目が集まっている。微生物が合成するPHAのうち、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸(3H2MB)を含むポリマーは、融点が高く、結晶化挙動に優れた高性能な生分解性プラスチックとして使用できる。しかし、このポリマーは僅かな量しか合成できないため、本研究では3H2MBを含むポリマーを高収量で生産する方法を確立することを目的とする。 昨年度は、α炭素メチル化モノマーである3H2MBの重合能力の高い重合酵素を探索した。データーベース検索から候補となる酵素を探索し、それらを人工合成することで宿主株の中で発現させ、その能力を検証した。その結果、3H2MBの重合活性が既存のものより高い酵素の取得に成功し、3H2MBを含むポリマーの収量を改善することができた。また、これらの重合酵素は、3H2MB以外のα炭素メチル化モノマーについても重合活性を有することを確認した。 他方、α炭素メチル化モノマーでβ位にプロピル基側鎖を有する3-ヒドロキシ-2-メチルバレリン酸(3H2MV)についても、αメチル化が熱物性に与える効果について検証した。3-ヒドロキシブタン酸(3HB)と3H2MVからなる共重合体P(3HB-co-3H2MV)を合成し、その熱物性について解析した結果、3H2MVを含むポリマーにおいても高融点および易結晶化の傾向が観察された。これによりα炭素メチル化の効果は、側鎖がかさ高い3H2MVにも共通であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り新規な重合酵素の取得ができたため。また、αメチル化モノマーを含む新しいポリマーの生合成に成功し、その物性を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既存の酵素遺伝子にランダム変異を導入し、その中から3H2MBモノマーに対して活性が高くなった変異体酵素をスクリーニングする。また、昨年度から継続して、新規なケトチオラーゼを用いて生合成経路を組換え大腸菌内に構築することで、3H2MBユニットをグルコースとプロピオン酸から合成することを試みる。このようにして合成した共重合体ポリマーに関しては、核磁気共鳴(NMR)分析により組成を正確に決定する。また、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定を行い、合成されたポリマーの分子量についても調査する。
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Research Products
(2 results)