2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Basic Research on the Influence of Right to Life and its Philosophy in Social Movements
Project/Area Number |
21H03702
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
友常 勉 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (20513261)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高 榮蘭 日本大学, 文理学部, 教授 (30579107)
石田 智恵 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (50706661)
武内 進一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60450459)
上原 こずえ 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60650330)
キム ウネ 明治学院大学, 国際平和研究所, 研究員 (70875799)
野平 宗弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (80711803)
呉 世宗 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (90588237)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 生存権 / 生存思想 / 住民運動 / 社会開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「社会運動における生存権・生存思想の影響とその射程に関する基礎的研究」の具体的内容は、ベトナム戦争末期で新左翼運動の退潮期にあたる1970年代の冷戦後期に、生存権を通して思想的転回を経験した地域住民運動・社会運動・文化運動が、単なる非西洋・反近代のオルタナティヴを追求する個別課題の地域主義から、開かれた対話を目指す国際主義の質を獲得した。本研究は、その源流と行方を思想・文学・アート・パフォーマンス芸術などの諸ジャンルのなかで見定め、ポスト冷戦期の南米・アフリカ地域での内戦の経験における生存思想の可能性も検証した。本研究の意義は、民主主義的な持続的発展を可能にする条件を生存権・生存思想に見定め、その歴史的な形成過程を以下のテーマから取り組んだことにある。すなわち、沖縄の反開発・反基地運動・文化運動、独裁体制後の行方不明者の問題に取り組むアルゼンチンの日系人社会、内戦後の上からの土地改革に端を発したアフリカの土地紛争と社会的危機、ベトナム戦争後の社会の再建に取り組むベトナムの文学や宗教者、ポストベトナム戦争の社会・ポスト植民地主義を課題とする日韓の文学・思想運動における連帯、そして日本の新左翼運動の敗北と反差別運動の生成という歴史的過程の中に探った。2022年度は、COVID-19の感染拡大という状況ではあったが、東京外国語大学の集中講義や連続講演会を継続することで、科研メンバーの相互討論の機会を重ねることができた。これによって当該年度の研究課題はおおむね達成されたといえよう。また、研究代表の友常、研究分担者の上原、キムウネは、東京外国語大学で開催された集中講義を組織し、冷戦期東アジア、とりわけ韓国、日本、沖縄における政治的暴力と対抗的な政治文化の系譜についての議論を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究「社会運動における生存権・生存思想の影響とその射程に関する基礎的研究」の具体的内容は、ベトナム戦争末期で新左翼運動の退潮期にあたる1970年代の冷戦後期に、生存権を通して思想的転回を経験した地域住民運動・社会運動・文化運動が、単なる非西洋・反近代のオルタナティヴを追求する個別課題の地域主義から、開かれた対話を目指す国際主義の質を獲得した。本研究は、その源流と行方を思想・文学・アート・パフォーマンス芸術などの諸ジャンルのなかで見定め、ポスト冷戦期の南米・アフリカ地域での内戦の経験における生存思想の可能性も検証した。本研究の意義は、民主主義的な持続的発展を可能にする条件を生存権・生存思想に見定め、その歴史的な形成過程を以下のテーマから取り組んだことにある。すなわち、沖縄の反開発・反基地運動・文化運動、独裁体制後の行方不明者の問題に取り組むアルゼンチンの日系人社会、内戦後の上からの土地改革に端を発したアフリカの土地紛争と社会的危機、ベトナム戦争後の社会の再建に取り組むベトナムの文学や宗教者、ポストベトナム戦争の社会・ポスト植民地主義を課題とする日韓の文学・思想運動における連帯、そして日本の新左翼運動の敗北と反差別運動の生成という歴史的過程の中に探った。2022年度は、COVID-19の感染拡大という状況ではあったが、沖縄での国内調査を進めることができた。また、東京外国語大学の集中講義や連続講演会を継続することで、科研メンバーの相互討論の機会を重ねることができた。これによって当該年度の研究課題はおおむね達成された。2022年度はとりわけ繰越予算を用いて、アルゼンチンの日系人社会が家族関係を問い直しながら独裁体制化の行方不明者家族救援に取り組んでいる状況を、主にデスクリサーチを通して進めてきた、
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究「社会運動における生存権・生存思想の影響とその射程に関する基礎的研究」の具体的内容は、ベトナム戦争末期で新左翼運動の退潮期にあたる1970年代の冷戦後期に、生存権を通して思想的転回を経験した地域住民運動・社会運動・文化運動が、単なる非西洋・反近代のオルタナティヴを追求する個別課題の地域主義から、開かれた対話を目指す国際主義の質を獲得した。本研究は、その源流と行方を思想・文学・アート・パフォーマンス芸術などの諸ジャンルのなかで見定め、ポスト冷戦期の南米・アフリカ地域での内戦の経験における生存思想の可能性も検証した。本研究の意義は、民主主義的な持続的発展を可能にする条件を生存権・生存思想に見定め、その歴史的な形成過程を以下のテーマから取り組んだことにある。すなわち、沖縄の反開発・反基地運動・文化運動、独裁体制後の行方不明者の問題に取り組むアルゼンチンの日系人社会、内戦後の上からの土地改革に端を発したアフリカの土地紛争と社会的危機、ベトナム戦争後の社会の再建に取り組むベトナムの文学や宗教者、ポストベトナム戦争の社会・ポスト植民地主義を課題とする日韓の文学・思想運動における連帯、そして日本の新左翼運動の敗北と反差別運動の生成という歴史的過程の中に探ってきた。2022年度はとりわけ繰越予算を用いて、アルゼンチンの日系人社会が家族関係を問い直しながら独裁体制化の行方不明者家族救援に取り組んでいる状況を、主にデスクリサーチを通して進めてきた。次年度は残された現地調査を遂行し、これらの成果を連続講演会を通して学内外に還元していく予定である。
|