2022 Fiscal Year Annual Research Report
偏極中性子散乱を主軸とした従来型スピントロニクスの微視的理解と次世代型機構の確立
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21H03732
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南部 雄亮 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60579803)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 物性実験 / 偏極中性子散乱 / スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
偏極中性子散乱に係る中性子偏極率の補正について解析的な数式を導出し、Y3Fe5O12を用いて測定したデータに適用することで、完全な補正を実現した。この成果はJ. Phys. Conf. Ser.に出版される。また、4f電子を持つTb3Fe5O12について、偏極中性子非弾性散乱実験をオーストラリアANSTOにて行い、マグノン極性を調べた。その結果、各マグノンモードにおいてマグノン極性が反対方向を向くこと、磁気補償温度を境に反転することを明らかにした。 スピンの高次自由度が担うトポロジカル転移について、論文を投稿した。NiGa2S4の偏極中性子散乱の結果から、面内と面直の磁気モーメント成分を分離し、異常温度を境としてその異方性が変化することを突き止めた。このような異常は磁気秩序や他の機構にも例がなく、ベクトルスピンカイラリティ渦によるKosterlitz-Thouless的凝集転移に起因することを明らかにした。類似物質のFeGa2S4では、非弾性中性子散乱実験をチョッパー分光器と後方散乱装置を用いて行い、カイラリティ渦の自由運動と相関する強度の温度変化が理論予想と整合することを突き止めた。 反強磁性スピントロニクスについて、モデル物質を対象として単結晶回折実験を行った。誘起弱強磁性ドメインを揃えるため、永久磁石による磁場印加状態で測定を行い、ジャロシンスキー・守谷相互作用の定量解明を行った。さらに、偏極中性子散乱を用いたマグノン極性測定をANSTOにおいて行い、反強磁性体において初めてマグノン極性を明らかにした。 バルク物性測定環境の整備として、現有の物性測定装置に新たな試料インサートを作製し、ホール効果、スピン流、誘電率・分極の測定環境を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究課題に対して、本研究の遂行はおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
フォノンの群速度によるスピン流寿命の増大が、マグノン・ポーラロン機構として提唱されている。この条件に合致する磁場値においてPx中性子偏極を用いたマグノン極性の(Q, E)走査を行った。今後は現在進行中のデータ解析を完了させる。具体的には、分解能関数畳み込み後の磁気ピーク幅の逆数からマグノン拡散長・寿命の定量評価を行い、磁場の関数としてマグノン寿命の増大を確認する。 反強磁性スピントロニクスについて、偏極中性子非弾性散乱実験によるマグノン極性測定を再度行い、結果を確実なものにする。前回の実験では中性子束が不充分であり、中性子偏極の時間変化も問題であった。次回の実験ではこれらを解決した上で精度の高い議論を進める。また、スピン運動量ロッキングのさらなる測定を進める。 高次自由度スピントロニクスについて、三角格子反強磁性体NiGa2S4・FeGa2S4においてスピンカイラリティによるトポロジカル転移を明らかにした。並行して、誘電率・でき分極測定、および非局所スピン流測定をNiGa2S4とFeGa2S4を対象に行い、高次自由度による誘起電気分極やスピン流伝搬を実証する。
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article] SrV0.3Fe0.7O2.8: A Vacancy-Ordered Fe-Based Perovskite Exhibiting Room-Temperature Magnetoresistance2022
Author(s)
T. Nagase, T. Nishikubo, M. Fukuda, Y. Sakai, K. Shigematsu, Y. Ikeda, Y. Nambu, Q. Zhang, M. Matsuda, K. Mibu, M. Azuma, T. Yamamoto
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Journal Title
Inorganic Chemistry
Volume: 61
Pages: 8987-8991
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Higher-order modulations in the skyrmion lattice phase of Cu2OSeO32022
Author(s)
J. D. Reim, S Matsuzaka, K. Makino, S. Aji, R. Murasaki, D. Higashi, D. Okuyama, Y. Nambu, E. P. Gilbert, N. Booth, S. Seki, Y. Tokura, T. J Sato
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 106
Pages: 104406
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 偏極中性子散乱装置POLANOによる交差相関物理の解明2023
Author(s)
横尾哲也, 伊藤晋一, 植田大地, 金子直勝, 猪野隆, 山内沙羅, 林浩平, 奥隆之, 林田洋寿, 藤田全基, 大河原学, 池田陽 一, 南部雄亮, 谷口貴紀
Organizer
2022年度量子ビームサイエンスフェスタ
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[Presentation] Inelastic Neutron Scattering Spectrometers in JRR-32022
Author(s)
T. Masuda, H. Kikuchi, S. Asai, T. Nakajima, T.J. Sato, T. Taniguchi, Y. Ikeda, Y. Nambu, M. Fujita, K. Ohoyama, K. Iwasa, O. Yamamuro, T. Osakabe, K. Kaneko, H. Yamauchi, M. Hagihala, K. Nakajima, L. Harriger, I. Zaliznyak
Organizer
QENS/QINS 2022
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Single crystal growth and magnetism of YbCu4Au2022
Author(s)
T. Taniguchi, K. Osato, Y. Nambu, Y. Ikeda, J. Gouchi, Y. Uwatoko, S. Kittaka, T. Sakakibara, D. Puspita Sari, I. Watanabe, A. Koda, M. Fujita
Organizer
29th International Conference on Low Temperature Physics
Int'l Joint Research
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[Presentation] 中性子回折とミュオンスピン回転法による重い電子系YbCu4Niの極低温磁性2022
Author(s)
大里耕太郎, 谷口貴紀, 岡部博孝, 池田陽一, 南部雄亮, 郷地順, 上床美也, D. P. Sari, 渡邊功雄, 幸田章宏, 藤田全基
Organizer
日本物理学会2022年秋季大会
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