2022 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum State Generation of THz-Light and Exploration of Quantum Measurement Applications
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21H03747
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
野竹 孝志 石巻専修大学, 理工学部, 准教授 (70413995)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テラへルツ光 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、斜周期分極反転ニオブ酸リチウム結晶を2つ用意し、2つの自発的パラメトリック過程を同時発生させ、第一結晶で発生したテラへルツ光子を第二結晶へ後進波パラメトリック位相整合条件を満たす角度で入射し、誘導性コヒーレンスに起因する量子干渉が観測できるかを検証する実験を行った。 パッシブQスイッチマイクロチップNd:YAGレーザー(パルス幅約0.9 ns、パルスエネルギー0.5 mJ、波長1064.4 nm)を単一縦モードで発振させ、偏光ビームスプリッターにて2つのビームに分岐した後、第一の周期分極反転ニオブ酸リチウム結晶であるPPLN1(分極反転周期53um、傾斜角67度)と第二のPPLN2へ導く。PPLN1で発振したテラヘルツ波は、2枚のダイクロイックミラーを用いて反射されPPLN2に励起光と対向した形で入射した。PPLN2に入射する励起光とテラへルツ波はいずれもパルス幅約0.9nsであるため、励起光経路に設置した遅延ステージにより、両者の入射タイミングを正確に合わせる必要がある。また、PPLN1で発生するアイドラー光の波長と、PPLN2で発生するアイドラ光の波長が精度よく一致していないと、識別可能性により量子干渉が生じないと考えられる。さらに、テラへルツ波の理論回折限界とPPLN2結晶の厚さ(1mm)がほぼ等しいために、凸レンズを用いてテラへルツ波を十分集光し効率よくPPLN2へ結合させる事等も重要であると考えられ、これら全てに注力し最適化して実験を行ったが、量子干渉的なアイドラー光波形は観測できなかった。ニオブ酸リチウム結晶はテラへルツ光に対する減衰が大きく、量子デコヒーレンスが発生している可能性も大きく、引き続き様々な最適化をして検証実験を継続するが、テラへルツ光吸収の極めて少ないBiBO結晶などへの置き換えも検討する必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は代表者の所属機関の移動に伴い、移動先で実験装置をゼロから立ち上げ整備、実験する必要等もあり、あまり十分に研究に時間を取れず研究の継続・進展ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の異動により研究の進展が遅れているが、前任地にて装置を借りて実験を継続して行う必要もある。ただし頻繁に出張して研究を行う事は難しいので、引き続き新任地にて実験装置の立ち上げや実験系の再構築も行い、効率良く研究に専念できる環境を構築する事に注力する。 特に現状、テラへルツ光子が絡む量子干渉は実現できておらず引き続き原因究明に取り組み研究を行う。特に識別不可能性の実現が重要であり、周波数や空間モード等も精度よく完全に重ね合わせ量子力学的重ね合わせ状態を実現する事が重要である。しかしテラへルツ光子は観測も難しく重ね合わせの実現にはアライメントを根気よくする必要がある。さらに量子デコヒーレンスの生じにくいと考えられるBiBO結晶等の新しい非線形結晶のテラへルツパラメトリック位相整合の可能性検討等も進める。
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