2023 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビーム加工に基づく光閉じ込め構造型完全暗黒シート材料の開発
Project/Area Number |
21H03753
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
雨宮 邦招 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (60361531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越川 博 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹技術員 (00354936)
清水 雄平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90828005)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 暗黒シート / イオンビーム / 光吸収体 / 黒体 / 極低反射率 / 光閉じ込め構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに開発した、世界一黒く、接触耐性も併せ持つ素材「至高の暗黒シート」の実用化を見据え、今年度はその製造技術の確立を図った。これまで、(1)イオンビーム加工で樹脂上に作製した微細な表面凹凸構造「光閉じ込め構造」は十分な表面反射防止性能を有していること、(2)従来の暗黒シートで樹脂の黒化に用いてきた顔料・カーボンブラック(CB)は凝集しやすく強いMie後方散乱が生じ、反射率を増やしてしまうこと、(3)漆類似成分のカシューオイル樹脂は鉄錯体にするとポリマー自体が黒くなり、顔料粒子が存在しないためにMie散乱がほとんど生じないこと、(4)ほかCB以外の黒色顔料にMie散乱の小さいものが存在すること、などを見出してきた。その知見に基づき得られた「至高の暗黒シート」は、ぎらつき(鏡面反射)もくすみ(散乱反射)も極めて少ない深い黒で、半球反射率は0.1 %未満(光吸収率99.9 %超)と、従来の接触耐性のある超黒素材と比べて1~2桁も低かった。その極低反射率は、1年以上の長期間にわたっても劣化しなかった。また、繰り返し製造しても、極低反射率が再現することを確認した。光閉じ込め構造を繰り返し転写製造するための型となる、イオンビーム加工済のモールドも歩留まりよく製造できる手順を確立しつつある。1枚の最大サイズも110 mm x 110 mmまで拡大できており、今後の大面積化・量産化が期待される。
この至高の暗黒シートは、明るい場所でも沈む圧倒的な黒さを実現でき、背景の映り込みを防止できるため、視覚表現にこれまでになく高いコントラストを提供可能である。また、必要な反射率や用途に応じて基材(や顔料)の選択肢があり、光閉じ込め構造を作製できるのも、今回の暗黒シート技術の特長である。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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