2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H03754
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤井 剛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (30709598)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | X線検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な次世代機能性材料中のナノスケールでの微量元素分布計測に向けた、結晶分光器の高エネルギー分解能と半導体検出器の高検出効率を両立する究極の軟X線検出器の実現を目指し、冷却ポリキャピラリーレンズと超伝導トンネル接合(STJ)アレイX線検出素子を組み合わせたウィンドレス超伝導X線検出器を開発する。本提案では、通常室温に設置しているポリキャピラリーレンズを数10Kまで冷却することで、STJに影響を及ぼす黒体輻射光子の発生率を大幅に低減し、X線ウィンドウが無くても動作可能なウィンドウ超伝導X線検出器を実現させる。 2021度は、上記のような構造実現に向けて、この構造のプロトタイプを開発し、特性評価を行い、問題点の抽出を行った。まず、冷却能力および振動の影響などを考慮し、レンズを冷却するための冷凍機を選定した。その後、振動の影響、熱の侵入、荷重などを考慮して、冷凍機、レンズ、レンズ移動機構を組み合わせるための構造の設計を行った。最後に、設計した構造を作製、冷却ポリキャピラリーレンズ構造の組み上げを実施した。本構造の冷却テストを実施し、200K以下まで冷却できていることを確認した。熱負荷が無い状態においては、60K以下まで冷却できており、レンズ保持機構側からの熱流入が大きかったと予想される。 2022年度は、上記熱流入を低減する構造を開発するとともに、開発した冷却ポリキャピラリーレンズ構造とSTJを組み合わた構造の開発に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、黒体輻射によるリーク電流および読み出しノイズ評価は実施できなかったものの、2年目に実施予定であったレンズ移動機構、レンズ、冷凍機を組み合わせる構造の開発まで成功しており、研究計画の全体スケジュールとしては、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に2年目に実施予定であった分析システムとの統合構造の開発に成功したため、機構の性能改善と並行し、完全な分析システムではないものの、この機構を利用することで、3年目に実施予定であったサンプルの分析を前倒しして実施できる。このことにより、実際の分析で発生する課題解決に対して2年目から3年目前半までに取り掛かれることで、3年目後半は、完成したシステムでより多くのサンプルを分析でき、今回開発しているウィンドレス超伝導X線検出器の優位性を示すデータを多く取得可能になる。
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