2022 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓、尿管、膀胱を含む尿路系組織のインビトロ一体構築
Project/Area Number |
21H03801
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高里 実 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40788676)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膀胱 / 腎臓 / 尿管 / 尿路系 / ヒトiPS細胞 / オルガノイド / 総排泄腔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、ヒトiPS細胞を分化させ、腎臓・尿管・膀胱が一体となった尿路系の完全構築を目指す。そのために以下の2つの研究目標を遂行する。 目標1:申請者が既に作成に成功している腎臓前駆細胞に加え、新たに尿管上皮、膀胱上皮、膀胱周辺間葉の前駆細胞をヒトiPS細胞から分化誘導する系を確立する。 目標2:目標1で作成した4種の前駆細胞群を三次元的に組み合わせ、in vitroで尿路系の原基を自己組織化させる。
2022年度は昨年度に引き続き、目標1に関しての研究を遂行した。目標1に関して:膀胱上皮は総排泄腔という、後腸の最尾部の腹側に位置する上皮組織から発生する。従って、膀胱上皮を誘導するためには、エピブラストに近い性質を持つヒトiPS細胞を胚体内胚葉に分化させると同時に、腸管の後方化と腹側化を進行させる必要がある。 2021年度は、この内胚葉化、腸管化、後方化、腹側化の誘導条件を確定し、総排泄腔上皮細胞の作製に成功した。具体的には、ヒトiPS細胞をアクチビンにより胚体内胚葉に分化させた後に、後方化因子FGF4/WNTにより後腸化し、腹側化因子により総排泄腔の上皮(P63陽性、FOXA2陽性)を誘導した。さらに、膀胱上皮周辺の中胚葉系間葉細胞の誘導に関しては、ヒトiPS細胞から膀胱周辺間葉細胞(GLI1, PTCH1, BMP4, BMP7, RALDH2陽性)の誘導を行った。2022年度は、総排泄腔上皮細胞と膀胱周辺間葉細胞を相互作用させることで、膀胱オルガノイドを作製した。具体的には、回転培養法やマトリジェル内部での三次元培養法により、3層上皮構造(UPK陽性の表層、P63陽性の中間層、CK5陽性の基底層)が形成されたことを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り、総排泄腔上皮細胞と膀胱周辺間葉細胞を相互作用させることで、膀胱オルガノイドを作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、胎生9.5から10.5日 目のマウスの腎臓原基と膀胱原基を含む本物の尿路系領域を組織培養することで、自己組織化による尿路系原基の発達に十分な培養条件を決める。細胞死、増殖 率、組織構造の観点から培養条件を評価する。更にその条件を、ヒトiPS細胞由来の尿路系組織前駆細胞に適用し、尿路系組織の一体的構築を試みる。
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