2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on the homeostasis mechanism of cells based on the nucleus-cytoskeleton connections
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21H03804
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長山 和亮 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10359763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 薫 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20737027)
山城 義人 筑波大学, 生命領域学際研究センター, 助教 (70751923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞バイオメカニクス / メカノバイオロジー / 細胞核 / 細胞骨格 / DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
血管の恒常性の維持と破綻のメカニズムを明らかにすべく,独自の細胞マニピュレーション実験系を構築しながら,血管平滑筋細胞における「細胞骨格と核の力 学的な繋がり」のメカニズムとその生理学的な意義を明らかにしていくことを目的としている.従来では,高血圧に起因する様々な血管疾患の発生機序を明らかにするという観点から,血管組織から細胞を摘出し,培養皿などで平面培養して用いるin vitro研究が数多く進められてきている.しかし,一般的な平面培養系では細胞の脱分化が促進され,細胞の形や向きがバラバラで細胞の移動性も高まり,生体内の力学的な構造を考慮した培養環境とはほど遠いと言わざるを得ない.そこで本研究の2年目では,実際の動脈壁内の力学的環境(エラスチンを主体とする弾性板に平滑筋細胞が挟まれながら円周方向に配列している)を考慮して,細胞の配列組織化を誘導するためのマイクロ溝基板を作製した.この基板の溝凹部のみに細胞接着タンパク質をコートして血管平滑筋細胞を培養すると,溝の凹部に細胞が拘束され,著しく伸長した細胞配列組織が形成された.このとき,細胞核も実際の動脈壁内で観察される血管平滑筋細胞と同様に極めて細長い形態となり,核の体積も平面培養時の1/4程度まで減少した.最終的には過剰な細胞運動および細胞増殖が有意に抑制され,血管平滑筋分化が効率良く促進された.本研究のマイクロ溝基板および細胞接着領域の制御手法を使った培養法は,実際の動脈壁内の組織構造を考慮しつつ,平滑筋分化のメカノトランスダクション機構を調べるための有効なモデル培養系となり得る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,次年度では実際の動脈壁内の環境(エラスチンを主体とする弾性板に平滑筋細胞が挟まれながら円周方向に配列している)を模擬した独自の細胞培養系を構築することができた.さらに,この培養系を使って培養血管平滑筋細胞内の核を細長く形態変化させることで,実際の動脈壁内の細胞形態と極めて近い状態にしながら,その収縮特性を向上できることを見出した.以上から,研究が順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに,初年度構築した顕微鏡化ストレッチシステムと融合させて,動脈壁内での繰返伸展状態を模擬した実験を展開し,力学刺激による平滑筋脱分化の機序を明らかにする知見を得る.特に血清濃度や増殖因子の濃度も調整しながら,力刺激に対する細胞感度がどのように変化するか確認しつつ,その感度を担う細胞内要素を特定していく.
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Research Products
(18 results)