2021 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞の自己組織化能の促進とアセンブルによる小脳オルガノイドモデルの創出
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21H03812
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
六車 恵子 関西医科大学, 医学部, 教授 (30209978)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オルガノイド / 小脳 / 自己組織化 / 多能性幹細胞 / 三次元培養 / 神経回路 / 神経分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳オルガノイドは、iPS細胞など多能性幹細胞が自己組織的に3次元構造化した多細胞塊であり、発生過程を模倣した脳組織モデルとして、発生・進化などの学術研究から再生医療や病態研究などの応用研究まで幅広く活用されている。例えば、大脳オルガノイドでは神経発生で見られる神経上皮の形成、細胞分裂、細胞周期に合わせた核移動(エレベーター運動)、inside-out様式の細胞移動、層特異的な分子マーカーの発現など、一連の経時的な素過程が再現され、大脳皮質特有の明瞭な層構造が形成される。しかしながら、小脳オルガノイドにおいてはそのような明瞭な層構造・組織形成が未だ不十分であり、現在の培養技術で再現できる構造は、胚子期後期相当の組織構築に留まる。これは層構造の形成過程が、大脳と小脳では全く異なることに起因していると考えられる。大脳皮質では、層構造を担うほぼ全ての神経細胞が脳室帯から産生されるのに対し、小脳では異なる二つの胚芽層から生み出され、複雑な細胞移動の結果として層構築が成立する。本課題では「多能性幹細胞の自己組織化能の誘導と細胞のアセンブルを組合せ、より高度な小脳オルガノイドモデルを創出する」ことを目指す。本年度は、小脳顆粒細胞の分化誘導系確立のため、BMPおよびSHHシグナルの制御を詳細に検討した。また、層構造形成過程における細胞動態を可視化するため、ゲノム編集技術により、小脳顆粒細胞およびプルキンエ細胞特異的に蛍光レポーターを発現するノックイン細胞株を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたパターニングシグナルの検討が順調に進み、また、細胞可視化のためのノックイン細胞株が作成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
既存のオルガノイド技術に、本年度開発した小脳顆粒細胞技術を組合せる。細胞の再配置(アセンブル)について組織学的に解析し、ノックイン細胞を用いたライブイメージングも進める。
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