2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of therapeutically active nanomaterials: lipoprotein structure/function-based therapeutic strategies to treat intractable ocular diseases
Project/Area Number |
21H03821
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
村上 達也 富山県立大学, 工学部, 教授 (90410737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 正恒 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (30532486)
須田 謙史 京都大学, 医学研究科, 助教 (70779157)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂質ナノ粒子 / 高密度リポタンパク質 / 両親媒性ペプチド / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
高密度リポタンパク質(HDL)に含まれる脂質結合蛋白質apoA-Iをペプチドに分解し,リン脂質と混合してHDL類縁体形成能を網羅的に調べた.具体的には,apoA-Iの10個の両親媒性アルファヘリックスを化学合成し,コール酸で可溶化したリン脂質と混合し,数十nm程度の脂質/ペプチド粒子が形成するかどうか調べた.N,C両末端ペプチドは高い脂質結合能を有し,結果,脂質/ペプチドナノ粒子形成能を持つことは知られていたが,今回,それら以外の部分ペプチド(ペプチドX)にもナノ粒子形成能があることがわかった.ただし,生成収率はN,C両末端ペプチドよりも低かった. ペプチドXの物理化学的性質を調べた.脂質膜内環境を模倣する50%トリフルオロエタノール溶液中で円偏光二色性スペクトルを測定したところ,αヘリック含量は49%となり,N,C両末端ペプチドの値(19,23%)よりも高かった.apoA-Iの脂質結合能だけでなく,αヘリックス形成能もHDL形成に有利に働くことから,ペプチドXのナノ粒子形成能は,N,C両末端ペプチドとは異なるメカニズムによることが示唆された. ゼブラフィッシュ幼魚を用いて,蛍光脂質を含む再構成HDLおよびその改変体(細胞膜透過ペプチド(TAT,R8, or PENを含む)の血管内投与後の血中滞留性を調べた.比較対象として,リポソームおよびポリエチレングリコール修飾(PEG)リポソームを用いた.ゼブラフィッシュ幼魚の透明性を利用して,共焦点顕微鏡による尾部血管内のライブイメージングを行った.この結果,PEGリポソームと再構成HDLは同等の半減期(12.9, 12.4 h)を示し,HDL改変体の値(約10 h)はリポソームの1.6 hよりも顕著に長かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
apoA-I部分ペプチドの新しい機能を発見することができた. ゼブラフィッシュ幼魚を用いる血中滞留性評価系を立ち上げることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見出したペプチドXの機能評価を進める.具体的には,血中滞留性とHDL生物活性を評価する.後者で意外な結果が得られれば,そのナノ粒子に細胞膜透過ペプチドを含ませて,眼疾患モデルマウスに点眼し,治療効果を既存のHDL改変体と比較する. マウスでの血中滞留性データを取得し,ゼブラフィッシュ幼魚でのデータと比較する.ゼブラフィッシュ幼魚において血管内投与された各種サンプルは主にマクロファージ様細胞に取り込まれていたことから,培養ヒトあるいはマウスマクロファージ細胞への取込も評価し,相関関係を明らかにする.以上の結果から,HDLおよびその改変体の血中滞留性評価におけるゼブラフィッシュ幼魚の有用性を判断する.
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Research Products
(6 results)