2021 Fiscal Year Annual Research Report
高度オルガノイド技術を利用した革新的がん遺伝子治療モデリングと腫瘍溶解性機構解明
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21H03828
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
宮川 世志幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (90415604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 博之 日本医科大学, 医学部, 講師 (20821771)
酒井 真志人 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40643490)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / オルガノイド / がん免疫微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高度オルガノイド技術によるin vitro がん免疫微小環境再構成系を用いて、革新的がん遺伝子治療法である腫瘍溶解性ウイルス(OV)の腫瘍選択性機構と間葉系幹細胞(MSC)との併用療法の作用機序を、遺伝子発現解析・動態解析・細胞間及びウイルス-細胞間相互作用解析により明らかにすることを目的としている。今年度は、高度オルガノイド技術を駆使したin vitroがんモデルの確立及び各種ヒト組織由来MSC培養系の確立、それらMSCの腫瘍細胞に対する特性解析を予定していた。がんモデルを確立すべく膵がん患者検体を単離し、複数の条件で検体を処理後、基底膜マトリックスを用いる培養系と気相液相界面培養系にて培養を試みた。その結果、いずれの3次元培養系でもがん細胞の増殖が認められ、病理解析の結果、一部のサンプルでは腫瘍組織に酷似した構造が認められた。同様に、膵がん細胞株であるPANC1スフェロイド3次元培養モデル、及び福島医科大学のがんオルガノイドリソースを利用した複数のがんモデルを構築した。以上、構築したがんモデルを利用してOVのキャリアとなるMSCの特性解析を進めた。複数のヒト組織より単離したMSC培養系を確立し、これらについてはin vitroがんモデル内において可視化するために、蛍光タンパク質でラベルを行った。ラベルによりMSCの特性に変化がないことを確認した後、MSCの腫瘍細胞への遊走能を評価するために、上記で作製した腫瘍オルガノイド及びスフェロイドモデルを用いたMSC共培養系を確立し、解析を行った。その結果、MSCの遊走能は由来組織により大きく異なることが明らかとなった。現在、同モデルを用いたOV腫瘍溶解活性の解析、また遊走能に関わる遺伝子群の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はがんオルガノイドモデルの確立及びヒト組織由来MSCの特性解析を予定していた。コロナの流行に伴い、オルガノイドモデル構築に必要な臨床検体の取得は困難を極めたが、得られた検体を用いて3次元培養系の確立に至った。またヒト組織由来MSC培養系の樹立及び遊走能の評価系の構築に成功した。しかしながら、オルガノイドモデル構築の遅延は否めず、進捗はやや遅れていると結論した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、やや遅れているオルガノイドモデル構築を完了し、ヒト組織由来MSCの特性解析を進める。またがん免疫微小環境におけるOVあるいはOV搭載MSCの動態観察も推進し、がんオルガノイドへの走化性・浸潤の解析を行う。
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Research Products
(8 results)