2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study on measurement method of viscoelastic property of blood vessel wall aiming at early diagnosis of arteriosclerosis
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21H03835
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒川 元孝 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (00333865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 浩 東北大学, 工学研究科, 教授 (10185895)
森 翔平 東北大学, 工学研究科, 助教 (50815149)
高野 真澄 福島県立医科大学, 医学部, 併任准教授 (60398344)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動脈硬化症 / 血管壁 / 粘弾性特性 / 血流依存性血管拡張反応 / 超音波プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化症の診断法の開発を目的とし、血流依存性血管拡張(FMD)反応を利用し、血流の駆血・開放後に血流のずり応力の増大によって内皮が産生した一酸化窒素(NO)によって、動脈壁の中膜が弛緩して柔らかくなり、その後また元に戻る一連の様子を、応力―歪み特性として非侵襲で計測する超音波計測システムを新たに開発する。その上で、内皮の障害の程度を非常に敏感に診断することの可能性を示すことによって、従来不可能であった、動脈硬化症の極早期段階における診断法として確立することを目指す。 本研究では、研究代表者らが開発した、血圧と血管径を同位置で同時に計測可能な超音波プローブを用いる。超音波プローブにより血圧波形を計測するためには、プローブを皮膚に押しつけ、血管を潰す必要がある。しかし、押し付ける圧力(押圧)により、計測される血圧波形、内径変化が異なり、得られる弾性率が異なる。今年度は、押圧により血管断面が円から楕円に変形したときの弾性率の算出方法を理論的・実験的に検討した。 変形後の血管断面の形状を楕円と仮定し、血管壁内にかかる貫壁方向応力,周方向応力を導出した。圧力センサを取り付けたプローブホルダを作製し、プローブによる押圧を計測した。また、超音波により血管の長径および短径、開発した超音波プローブにより血圧を計測した。超音波によって計測した血管短径の変化から、血管壁の周方向歪みを算出した。これらから弾性率を推定した。 20代男性の被験者の橈骨動脈に対して適用した結果、弾性率の3心拍間の平均値は、従来法では押圧によって弾性率の推定値が全体の平均値から最大で-36%から+25%程度変化してしまうのに対し、提案法では-7%から+3%程度と大幅に小さくなった。提案法により押圧の変化が弾性率推定に与えていた影響を大きく低減できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者らが開発した、血圧と血管径を同位置で同時に計測可能な超音波プローブを用いた場合、プローブによる押圧の影響で、血管断面が円から楕円に変形し、弾性率の推定値に影響を与える。この押圧の影響と血管断面の影響を考慮した弾性率の算出方法を理論的・実験的に検討し、提案法により押圧の変化が弾性率推定に与えていた影響を大きく低減できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するための課題は、次の3つである。(1)超音波プローブによる血圧は、電圧値[V]として計測される。圧力値[mmHg]に変換するためには、校正が必要となる。駆血前の安静状態の最初の拍で得られた血圧波形を、市販の血圧計による血圧値で校正し、そのとき得られる校正係数を用いて他の拍のデータを校正している。しかし、駆血による血管壁の特性変化により校正係数が異なる可能性がある。(2)超音波プローブにより血圧波形を計測するためには、プローブを皮膚に押しつけ、血管を潰す必要がある。しかし、押し付ける圧力(押圧)により、計測される血圧波形、内径変化が異なり、得られる弾性率が異なる。(3)健常者と動脈硬化症の初期段階で、粘弾性特性がどの程度異なっているかという臨床的な知見がない。これまでの研究を継続するとともに、以下の検討を行う。 提案法により、弾性率を推定するためには、血圧と血管径の変化だけでなく、押圧と楕円に変形した血管の長径と短径を計測する必要がある。押圧を計測するためには、専用のプローブホルダを開発する必要がある。また、血管の楕円形状を正確に推定するための手法を検討する必要がある。
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Research Products
(19 results)