2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Long-life Cryogenic Laser Ion Source for Next Generation Heavy Ion Therapy Accelerators
Project/Area Number |
21H03838
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 純 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90302984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 潤 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (90647017)
高橋 一匡 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10707475)
高山 健 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 研究員 (20163321)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レーザーイオン源 / クライオ標的 / 炭素イオンビーム / レーザーアブレーション / 重粒子線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は無限寿命氷結気体標的レーザーイオン源の原理実証実験を中心に行なった.レーザー照射用のクライオ標的には,液体窒素で冷却された円筒形クライオヘッドの表面に,二酸化炭素(CO2)を昇華させ,厚さ数10~100μmで形成したCO2固体層を用いた.クライオヘッド昇温時のガス脱離に伴う真空容器の圧力変動の履歴から,外部から供給したほぼ全てのCO2がクライオ標的として昇華・固化することが分かった.クライオ標的生成時は供給ガスによる背圧上昇は非常に小さく,当初予定していた差動排気系は不要であることが分かった. 次に,クライオCO2標的にNd:YAGレーザー(~100 mJ, 532 nm)を照射し,プラズマ生成試験を行なった.レーザー生成プラズマ中のイオンフラックスをファラデーカップで測定し,波形を観測すると共にその再現性を評価した.クライオ標的の形成(CO2の昇華)を止めた状態で,標的上の同じ位置にレーザーを繰り返し照射すると,得られるプラズマイオンフラックスは最初のレーザー照射に対してそれ以降では大きく減少し,イオンのドリフト速度も大幅に低下することが分かった.この結果は最初のレーザー照射によりCO2昇華層がほとんど失われ,照射2回目以降ではクライオヘッドの銅基板がアブレーションしていることを示唆している.また,CO2昇華層がレーザーに対して透明なため,レーザー照射系の焦点位置によっては昇華層と銅基板の界面で選択的にレーザーエネルギーの吸収が起こりプラズマ生成が不安定になるが,この問題は焦点位置を昇華層表面に精度良く合わせることで回避できることが分かった.上記に加え,再生昇華層へのレーザー照射試験やイオン価数分布測定を行い,本研究で提案するクライオ標的レーザーイオン源により,4価までの炭素イオンを10%程度の電流変動幅で供給できることを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,初年度にクライオ標的及び差動排気システムの開発を中心に行う予定であったが,差動排気システムが不要であることが判明したため,クライオ標的開発とレーザープラズマ生成試験に注力することができた.その結果,次年度に実施予定であったプラズマイオンの荷電状態分布計測や再生クライオ標的を用いたプラズマ生成の再現性評価まで,計画を前倒しで実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,前年度の原理実証試験で得られた知見をもとに,クライオ標的から生成されるレーザープラズマの再現性の向上と,高価数炭素イオン(5+, 6+)の生成・供給能力の実証を目指して研究を行う.クライオ標的駆動機構の高精度化のためにプロトタイプ機を設計・製作する.同時に200kVテストスタンドを構築し,クライオ標的レーザーイオン源からの高価数炭素イオンビームの引き出し試験とイオンビーム電流波形の再現性の評価を行う.
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