2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the optimal control of cardiomyocytes beating in chronic hemodialysis treatment
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21H03848
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱田 浩幸 九州大学, 農学研究院, 助教 (80346840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎山 亮一 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30408471)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性血液透析療法 / 心筋拍動能 / 最適制御 / 計算機シミュレーション / 細胞シート工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性血液透析療法では、心機能障害(不整脈・心停止・心不全)が多発している。その心機能障害の機序を特定し、その障害を回避する方策を構築することが強く求められている。我々は、初年度に電気生理学に基づく心筋細胞拍動能の数理解析を実践し、血漿と透析液の間のカルシウムイオン濃度の較差に伴うNa/Ca exchangerの電解質輸送能亢進が治療中の収縮不全と催不整脈の要因の1つであることを特定した。今年度は、その知見に基づき、透析液電解質濃度の動的制御ならびにNa/Ca exchangerの阻害薬を用いて、治療中の心筋組織拍動能を最適制御する技術の構築に着手した。具体的には、計算解剖学と組織工学に基づく in silico & in vitro simulatorを構築し、1)現行の治療中の心筋組織拍動能の検証、2)血漿ならびに間質液電解質動態と心筋組織拍動能の関係の精査を実践した。現行の治療中のカルシウムイオン動態は心筋組織の収縮力低下に強い影響を持ち、血漿と透析液の間のカルシウムイオン濃度の較差を小さく保つことの重要性が示された。この研究成果は日本人工臓器学会より高く評価され、論文賞を受賞した。さらに、人工知能と数値シミュレーション技術を用いて、血漿電解質濃度から心筋拍動能を評価する機械学習モデルを作成し、心筋拍動能の安定化を目的とする透析治療中の電解質濃度の最適制御システムの基盤を構築した。また、マウス心筋細胞を用いてNa/Ca exchangerの阻害薬が心筋拍動能に及ぼす影響を評価する試験系を設計した。さらに、その試験系を用いて、心筋拍動能の安定化を目的とする透析治療中の電解質濃度の最適制御の概念実証を行う試験系も設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In silico simulatorの開発は予定通り進行し、血液透析治療中のカルシウム動態が心筋拍動能におよぼす影響の解析を完了した。In vitro simulatorの開発は、コロナウィルス感染波の影響のため哺乳細胞の試験系の確立に時間を要し、阻害薬の評価試験に着手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro simulatorの開発を加速し、阻害薬の評価試験を実施する。そして、in silico & in vitro simulatorを用いて、心筋拍動能の安定化を目的とする透析治療中の電解質濃度の最適制御システムの妥当性評価と血液透析治療中の心筋拍動能障害を回避する阻害薬の薬効評価を実施する。最後に、我々の提案手法により、血液透析治療中の心筋組織の収縮力ならびに拍動リズムが安定化されることを確認する。
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