2021 Fiscal Year Annual Research Report
異文化接触場面での批判的思考育成のためのwithコロナの新協働学習モデルの構築
Project/Area Number |
21H03864
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
佐古 孝義 京都教育大学, 附属高等学校, 高等学校教諭(英語科)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クリティカル・シンキング / 協働学習 / コロナ禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:2021年度は、COVID防止のガイドラインを守りつつ、より他者性を生徒が感じられるような仕掛け,つまり協働作業ができるような指導上の工夫を行い,「2020年度の反省を受けて協働学習を取り入れた2021年度の授業を,これまで生徒はどう評価しているか?」をリサーチ・クエスチョンと設定し, 2年生(40人×2クラス n=79)を対象に授業実践とアンケート調査を実施した。 結果と考察:様々な協働学習の場面で,他者の意見を知ることができ,交流が深まるという効果を,多くの生徒は肯定的に感じ,授業が改善されたと評価した(生徒全体の約70%が「良くなった・とても良くなった」と回答)。ともに学び合う仲間がそばにいることによる安心感と英語力や批判的思考に挑戦するディベート活動に価値を見出したということがわかった。 研究結果の学術的・社会的意義:コロナ禍での教育現場におけるさまざまな制約の中で,いわゆる通常の意味における「異文化体験」は大幅に制限されたが,そもそも教室現場は自分とは異なる考え方や価値観,社会的背景を持った「異文化の存在」である他の生徒(や教員)たちとどのような関係を切り結んでゆくかを学ぶ場であり,そうした意味での異文化接触をどのように批判的思考及び態度の伸長に繋げてゆくかが課題であると認識した。そうした他者性を感じ,そこから学ぶ上で,鍵となったのは〈共同性〉という概念である。積極的に関与してくるわけではないが,「ただ他者が身近にいる」と感じられることが,学び(特に批判的思考力)にどのような積極的な意味があるかを,本研究では一定程度明らかにすることができた。
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