2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの「声かけ」は動物に安心を与えることができるか
Project/Area Number |
21H03887
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
橋本 春菜 島根大学, 総合科学研究支援センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マウス / ストレス / コルチコステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
実験動物の飼育管理、実験支援等の業務では動物福祉に配慮した取り扱いが求められており、動物への声かけもその一つである。しかし、初学者向けの教科書で動物に声をかけることが推奨されている一方で、適正な実験動物の取り扱いの国際基準であるILARガイドラインは、特にげっ歯類においては異種の動物が発する音を“noise”として規定し、できるかぎり排除すべきことを提唱している。 動物に対して実験処置を行う際には、その処置自体による侵襲だけでなく、処置を加える際の保定などによるストレスも加わる。また、環境ストレスが実験結果に影響を及ぼすとの報告もある。ヒトの声かけがマウスにとって”noise”と認識されるのであれば、実験結果に影響を及ぼす可能性がある。そこで、動物にとって好悪どのような影響をもたらすかを検討した。 ICRマウスを単独飼育し、14日間毎日ケージの蓋を開け30秒間声をかけストレス負荷時に(1)声をかける群、14日間毎日ケージの蓋を30秒間開けるが声はかけずストレス負荷時に(2)声をかける群(3)声をかけない群に分け、実験15日目にストレス負荷(保定袋に入れ10分間拘束)を実施した。実験開始の前日と7日目、15日目に採血を行いストレス時に上昇するとの報告があるコルチコステロンを測定した。 いずれの群においても実験開始前と比べ7日目の数値は下がる傾向が見られ、ストレス負荷後の数値は上昇傾向にあった。数値の推移について各群において差は見られなかったことから、マウスはヒトの声程度の音は気にしていないのではないかと考えられた。
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